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オーストラリア産の日本食

オーストラリアで生産されている日本食の食品、リートンの日本式の米、タスマニアの蕎麦、西オーストラリアのうどん、アルパイン・パリーの緑茶、ペンリスの日本酒、簡単な改名について。

アンカー迎康子さん:関東は冷たい雨の所が多いようなんですよ。

こちらも少し涼しくなってきて、今週の火曜日まではほとんど連日30度台の厳しい残暑が続いていたが、水曜日くらいから打って変わって、20度代前半の秋の陽気となった。今日から4日間はイースター(Easter)、復活祭の連休が始まるので、初秋の自然を楽しみに都会を離れる家族が多いようだ。来週の土曜日にはもう夏時間が終わる。今は日本との時差は2時間だけれども、あと1週間すると1時間になり、いよいよ秋が訪れてくるということになる。

日本では例の中国製のギョーザ問題で食べ物の安全に関心が深まっているようだが、オーストラリアは食料自給率が200%を超えていて、この点では世界一の水準にある国の一つである。自分の国で消費できる分量の2倍以上を生産しているので、食料は非常に大切な輸出品になっているわけである。日本に対してもアメリカや中国とともに主要食品輸出国となっている。

オーストラリア産の牛肉は日本での市場占有率を高めて、オージー・ビーフ(Aussie Beef)というふうによばれて親しまれるようになったが、いわゆる日本食に関わる食品も、こちらでは非常にたくさん生産されている。

オーストラリアでは米の生産が非常に盛んで、中華料理やタイ料理などの東南アジアの方々の食事に使われる「ロング・ライス」というものがある。これは少し長めの粒のお米である。日本人が食べるのは「ショート・ライス」とこちらではよばれていて、スーパーなどでたくさん売られている。こういう日本式のお米は、実は100年あまり前にオーストラリアに定住してきた元衆議院議員の高須賀譲という夫妻の家族が、長い苦労の末に日本式の米作に成功した。おかげで私たちも、日本で口にするのとあまり変わらないご飯を食べている。このところ少し値上がりして1kg、200円あまりになった。シドニーとメルボルンの中間あたりにあるリートン(Leeton)という地域が生産の中心地で、その9割は輸出されているが、日本への輸出は限られている。

むしろ、日本食の領域では日本市場を意識した加工食品が多い。一番よく知られているのはオーストラリア南端の島、タスマニア州での蕎麦(そば)作りである。非常に大きな敷地に日本の製粉会社が蕎麦畑を開拓したという。また、日本のうどん市場へ向けて、うどん用の麦の生産に力を入れていることでよく知られているのは西オーストラリア州である。メルボルンにも日本の商社系の会社で、オーストラリア製のうどんを日本に輸出しているところがある。おかげでオーストラリア国内でも、うどんや蕎麦を売っているので、私たちも自宅で時々そういうものを食べている。

アンカー:そうですか。私たちもオーストラリアのお蕎麦やうどんに、お世話になっているのかも知れませんね。

そうなのだけれども、そこまではっきり書いてあるのか、どうなのか私はよく知らない。

緑茶もメルボルンから東北方向に車で4時間前後の所にあるアルパイン・バリー(Alpine Valleys)とよばれる地域で、グリーン・ティーの生産に力を入れている。日本の大手のお茶の製造会社も投資して、日本への輸入を図っているようである。

それから、日本酒もオーストラリア国内で醸造されている。前述のとおりオーストラリアでは日本式のお米が取れるので、これを利用して日本の酒造会社の全面的な資本参加やサポートを得て、日本酒の本格的な販売が始まってからもう10年以上になると思う。シドニー郊外のブルー・マウンテンという高原地帯にあるペンリス(Penrith)という町が生産地である。この地域の水の質が良いということで、それが利点になっている。もちろん最大の市場は日本で、だいたい8割くらいがここから日本へ送られる。船積みの時点で4度くらいの冷たさにして、タンクコンテナに入れて日本へ輸出されると聞いた。最近は東南アジアや中国、アメリカなどでも注文があり、寿司や刺身を始めとする日本食が世界各地で人気を集めているので、そのおかげで日本酒の消費も上昇気運にあるようである。私自身もオーストラリア産の日本酒をちびちび時々楽しんで飲んでいる。

オーストラリアは農業立国という側面があり、特に農産物や畜産物に悪い影響を与える菌やウイルスを海外から入れないように、やや神経質と思われるほど検疫が厳格である。オーストラリアに旅行された方は記憶にあると思うが、空港での荷物検査は徹底的である。これも食の安全を気にする農業や畜産業の強い影響力と関係しているのではないかと思う。

アンカー:でもね、そういう意味では安全にこれだけ力を入れています、ということは大きなアピールになるでしょうね。

クリーンで食として安全だということが、オーストラリアの売りなのではないかと思う。

話は変わり、ここ5、6年名前を変える人が増えているという話題。メルボルンのあるビクトリア州の場合、このところ毎年1万人を超える人が姓や名を変えているという。州の人口が450万人程度なので、割合としてはかなりの数になる。オーストラリアでは名前を変えるのが非常に簡単で、州の登記所に出かけて行き、その旨を登録するだけのことなのである。裁判所などの許可は要らなくて、許可制ではなくて登録制なのが特徴というわけである。チェンジ・オブ・ネーム(Change of Name)という書式に自分がやめたいと思う名前と、新しく付けたいと思う名前などを書き込んでおいて、それでお仕舞いということだ。イギリスには古くからディード・ポル(Deed poll)という公式の改名届けのシステムがあるのだけれども、オーストラリアでもその方式が受け継がれているようで、改名届けが正式に受理されると、その用紙をいろいろなところに持って行けば、旅券や免許証や銀行の登録の変更は簡単にできるようだ。

名前というと私の友人の例ではスノーマンという苗字の人がいた。雪だるまという意味である。それが嫌だというので、スノーという苗字に変えた人がいる。それから、先日ラジオを聴いていたら、死を意味する"Death"というつづりの自分の苗字が気に入らなくて、これをやめてスッキリしたという人が電話に出ていた。ただこれはデスと読むのではなくて、ディーアスというふうに発音するのだという。本当にこんな苗字の人がいるのだろうかと思って、半信半疑でメルボルンの電話帳を見てみたら"Death"というつづりの苗字の人が7世帯載っていた。それからついでにページを繰ってみたら、"Christmas"という姓の人が13件も載っていたし、話によると"Merry Christmas"という人も実存するらしい。また"Dougal McDougal"のような語呂合わせのような姓名の組み合わせも嫌がられるようだ。

いずれもこれらは極端な例だが、好みでいろいろな名前に変える人たちも少なくないようで、名前は自分の所有物であり個人の権利なので、名前の変更について役所などから許可を貰う必要は無い、という考え方が浸透しているからだろう。戸籍制度というのは日本独特のもので、オーストラリアはもちろん、アメリカやイギリスなどの英語圏にはそういうものが無いので、夫婦別姓が議論の対象になることもほとんど無い。結婚して姓を変える人も変えない人もいる。こういうことは個人の勝手だと考えられている点が、特徴だといえるかも知れない。まあ、たかが名前、されど名前ということで、名前の扱い方をめぐる問題は、考えてみるとなかなか面白いテーマを含んでいるようにも思われる。

アンカー:そうですね。でも、ずいぶん手軽に名前が変えられるので、ちょっとびっくり致しました。

シドニーに出かけた時に聞いた話では、ある女性が"Crystaldrinkwater"という名前で「澄みきった飲み水」という意味になるので、それが嫌でこちらは苗字ではなくて名前の方を変えたらしい。
21日放送オーストラリア・メルボルンから杉本良夫さんのレポート

  • 日本で改名する時には家庭裁判所の許可が要るらしく、あまり気軽に変更できないような仕組みになっています。名前に対する考え方が違うためなのでしょうか。(編者)

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