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変わり続けるベルリンの街

このところ寒さが戻ってきたこと、復活祭の卵探しは雪の中、ベルリンに来る国内外の観光客と街の魅力、北京オリンピック・ボイコットの論調、教科書検定、8年間の最後のレポートについて。

アンカー水野節彦さん:それではもう一人、ベルリンの永井潤子さんにお話を伺います。実は昨日予定していたんですが、放送できませんでしたので、今日永井さんにも登場していただきます。永井さん。

はい。永井でございます。

アンカー:そちらは今何時頃になるんでしょうか。

こちらはまだ3月25日火曜日の午後4時半ちょっと前ですね。まだ明るいんですよ。

アンカー:そうですか。お天気の方はどうなんですか。

今日は先ほど雪が降りまして、すごく寒いんです。今年の冬は異常なほどの暖冬だったんですけれども、ここへ来て急に寒さがぶり返しまして、4日間の復活祭の連休の間も、ずっと雪ですとか霙(みぞれ)が降るとても寒い日が続きました。

アンカー:例年そんなもんですか。

いえいえ、例年は復活祭と共に本格的な春が来ることになっているんですね。それで復活祭の時には、野原や森に行って色の付いた卵を親が隠して、子供たちがその卵を探すのが恒例なんですが、今年は雪の中で探した子供たちが多かったようです。

アンカー:ああ、じゃあ見付けにくいですね。

そうです(笑)でも色が付いてますから。飾りも付いてて。でも、そんな寒さにも関わりませんで、植物の世界には春が進んでいるんですね。山桜のような小さな桜の花があちこちで咲いていたりしますし、コブシや木蓮の蕾(つぼみ)が膨らんでいたりします。

アンカー:コブシや木蓮というのは、日本の花と同じと考えていいんですか。

そうですね。アジアから来たと思いますよ。シーボルトあたりが持ってきたんじゃないかと思いますけれど。

それで、復活祭は十字架にかけられたキリストが復活するわけで、キリスト教徒にとってはクリスマス以上に大事な宗教的な意味を持つ祝日なんですね。ですから、人間としての生と死についていろいろ考える時なんです。例えばコンサートなんかでも、レクイエムやバタイユ(Gabriel Bataille?)の難曲(?)など、そういう曲が演奏されます。こちらのお休みは、キリスト教に関係のあるお休みが多いですからね。

イースターは3、4日の連休になりますので、これを利用して小旅行に出る人が多いんです。今年はベルリンに観光でいらした方が、外国からいらした人も含めて、記録的な数に上ったようなんです。ベルリンには新しいホテルがどんどん建っているんですが、そういった過剰なほどのホテルのベッドも、90%以上がお客さんで埋まってしまったということなんです。それに日帰りの観光客がいらしたわけですから、もうすごい人でした。

アンカー:何か特別な理由があるんですか。

いえいえ、小旅行をしたいということと、ドイツ人ですと、地方に住んでいる人たちは、新しい自分たちの首都の変化を見たいと思って来るわけなんですね。でも皆この寒さには震えたようです。

でも、その寒さに関わらず、テレビのインタビューなどを見ていますとね、だいたいの人がベルリン滞在に満足していると言っているんですね。それで何が良かったかといいますと、美術館や博物館がベルリンにはたくさんありますし、コンサートや3つのオペラ劇場があって、文化的な催しが多いんですね。そういうことと、パリやロンドンなど他の先進国の首都と比べますと、ベルリンのホテルや食事の代金が安いんです。お値段が非常に手ごろなんです。ホテルも超一流のホテルから、安いホテルまでいろいろあって、選択の幅が広いわけなんです。

それからまた、ベルリンの魅力として今、特に強調されているのは、パリやロンドン、ローマっていうのは、もう出来上がった大都会ですよね。ベルリンは統一して(1990年)何年も経っていませんし、統一して首都に戻ってから、どんどん変わっていますので、変わりつつあるのがベルリンの魅力だということになっています。「何度来ても新しいものを発見する」というふうに答えている人もいました。

アンカー:ベルリンの壁が崩壊して(1989年)、今年で20年くらいですか。

そうですね。来年で20年です。復活祭の休暇の間は新聞もお休みだったんですけれど、休暇明けのドイツの新聞の論調は、北京オリンピックをボイコットするべきかどうか、という論議で盛り上がっています。

1936年のベルリンオリンピック、昭和11年ですか、このオリンピックがヒトラーに利用されましたので、そういう体験をしたドイツとしては、中国の人権侵害に強く抗議すべきだという論調と、もう一つは東西両陣営の対立の時代に、東の社会主義陣営に近付いて相手を変えていこうという、ブラント(Willy Brandt)元首相の考え方に近い人たち、つまり中国に大勢出かけて行って影響を与えよう、という論調と大きく2つに分かれているような感じでした。

アンカー:ああ、その行って相手をこちらに引き込もうというのは、なんとなくドイツ的と考えてよろしいんでしょうか。

分りませんけれど、そうかも知れませんよね。

アンカー:あんまり聞きませんもんね、そういうのって。

そうかも知れませんね。それでちょっと私、今日もまたしゃべることがたくさんあるんで、先急ぎたいんですけれども(笑)

アンカー:ああ、すいませんどうも(笑)

次はね、私がずっと抱えている宿題がありましたので、気になっておりましたので、それを取り上げたいと思うんですね。その宿題といいますのはね、私のリポートを熱心に聴いてくださっている東京のある男性から、ドイツには日本と同じように教科書検定制度があるって聞きましたけれども、本当ですかっていうご質問を頂いたんです。それに対するお答えを今日までしていませんので、今日そのご質問にお答えしたいと思うんですね。

ヨーロッパには検定制度が無い国が多いんです。例えば学力の国家比較でトップクラスのフィンランドのように、以前検定制度があったのだけれども、いろいろ問題があって廃止したっていう国もあるんです。ご質問のように、ドイツは教科書の検定制度はあるんです。ただし、日本とは大きく違っている点があります。

それはどういう事かといいますとね、ドイツは16の州の連邦共和国ですけれども、学校教育の権限は連邦政府には無くて、16の各州政府にあるんですね。ですから、教科書も各州の独自の方針に従って作られて、各州がチェックをするということなんです。

だから私が持っている高校生用の歴史の教科書には、ベルリン版と書かれていまして、それはなぜかといったら私がベルリンで買ったからなんですけれども、フランクフルトのあるヘッセン州や、ミュンヘンのあるバイエルン州は、同じ出版社から出ている教科書でも、ベルリン版とは違うんですね。そこが日本とは大きく違っているんじゃないかなと思います。

それでベルリンでは、もう教科書検定はやっていないそうなんです。教科書の選択は各学校と教師の自由に任されていて、副読本の選択も教師の自由に任されているという点が強調されています。

アンカー:そうですか。どうもありがとうございました。長い間、リポートして頂いたのは2000年からですから、8年ですかねえ。

そうですね。ドイツ統一でベルリンへの首都移転に伴って、私もベルリンにやって来て深夜便のレポーターをさせて頂きました。

アンカー:そうでしたね。長い間ありがとうございました。

あの、いつも欲張り過ぎてお聞き苦しいところがあったと思いますけれども、皆様に心からありがとうと申し上げて終わりたいと思います。

アンカー:こちらこそ、ありがとうございます。

ごめんくださいませ。
26日放送ドイツ・ベルリンから永井潤子さんのレポート

  • バタイユのナンキョクという音楽が分りませんでした。ドイツではわりと有名な曲なのでしょうか。(編者)
  • 永井潤子さんの8年間のレポートも今回が最終回でした。コソボ問題の話題など、まだ楽しみに待っていたお話もいくつもあったので、急に終わってしまってとても残念です。永井さんのレポートは、社会の弱い立場の人や歴史問題などにスポットを当てたお話が特に印象的ですが、ドイツの街や生活の中の素朴な雰囲気が伝わってくるお話も大好きでした。欲張りすぎてと仰っていましたけれど、私はたくさん聴けてうれしかったです。お疲れさまでした。(編者)

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