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女王様の誕生日の青空市

根も葉もない噂で中国から多くの移住希望者が来たこと、女王誕生日の祝日が前女王の誕生日である理由、この日は国中で青空市が開かれ王室がとても身近に感じられることについて。

アンカー宇田川清江さん:今夜はオランダのアウトホルンから、平田曜子さんのリポートです。平田さん。

こんばんわ。

アンカー:こんばんわ。よろしくお願いいたします。

こちらこそ。オランダの平田曜子です。

アンカー:そちらは天気はどうですか。

晴天です。もうぽかぽか陽気で。ちなみに最高気温が15度、最低気温は6度です。

アンカー:まだでも最低気温は低いですね。

低いですね。まだちょっと風が冷たいですね。

桜は散りまして、もう庭ではチューリップが咲いて、ボタンが芽を出しております。

私、庭の一角に畑を作っているんですけれども、今朝畑仕事をしていましたら、ミョウガとドクダミが早くも芽を出していました。

なんかもう、うれしくって「また今年も会えたわね」と語りかけてしまいました。

アンカー:そちらではフキノトウなんてどうですか。

フキノトウは無いんですねえ。残念でした。

アンカー:無いんですか。オランダといえばチューリップですものね。

皆さん本当に家の手入れをしているので、散歩が本当に楽しみなんです。

あと、今ごろ日本でも皇居のお堀のカルガモが、話題になっていますでしょうか。こちらでも、家の近くのお堀ではカルガモの雛たちがやっと泳ぎを覚えて、お母さんについて水を掻いています。

アンカー:ああそうですか。一番かわいい時ですね。

本当にそうですね。

ええとですね、あの、オランダのニュースをお送りいたします。

アンカー:はい。お願いいたします。

テレビのオランダ第一放送のニュースから。中国で根も葉もないニュースが流れて、800人もの移住希望者が入ってきました。

アンカー:え?

その噂というのは、オランダの王権が交代するのでは?それに伴って、恩赦が出されるのではないかというもので、本当に噂が噂を呼んで広まったんでしょうね。

アンカー:ほう。

それで800人も入ってきまして。

でも、これまで中国からの移住希望者というのは平均して年間100人にも満たないそうなんです。

アンカー:年間100人にも満たないものが、一時に800人?

ええ。それで通常、海外からの移住希望者の審議には時間を要するのですが、今回のような異常事態では即刻75%は拒否されたそうです。

ちょっと私もニュースを見てびっくりしました。

アンカー:でも、来た方々も大変ですね。

そうですね。本当に噂というのは怖いですね。

アンカー:どこから、そんなふうに流れてきたんでしょうね。

そうですね。

それで、これはニュースなんですけれども。オランダのベアトリクス(Beatrix)女王様は、とてもお元気でいらっしゃるんです。今度はベアトリクス女王様のお誕生日の話題です。

ベアトリクス女王様はとてもお元気で、今年の1月31日に70歳になられました。

お母様のユリアナ(Juliana)女王より王位を引き継がれて28年になります。お母様のユリアナ女王は2004年に崩御されました。

さて、女王誕生日として国民がお祝いするのは4月30日なんです。これにはわけがあります。

本来のベアトリクス女王様の誕生日は1月末。これではオランダでは一年で一番寒く、国民の気勢が上がりませんので、お母様のユリアナ女王の誕生日である4月30日をそのまま引き継いだ、というわけなんです。このころは陽気も良くなり、春らんまんですからね。

アンカー:女王様のお誕生日というのは、国民の祝日か何かになっているんですか。

祝日になっています。でも、陽気が良くなったから、そのままお母様の日を引き継ぐというのは、なんとまあ寛容で粋な計らいですね。

アンカー:そうすると、お母様のユリアナ女王様の誕生日も今は祝日なんですか。

ええ。そのままベアトリクス女王様が、引き継いだわけですから。ですから、本来のベアトリクス様の誕生日は祝日扱いではないんです。

アンカー:あ、ないんですか。1月31日は。

1月31日はなくて、4月30日が祝日になっているんです。

アンカー:ああ、そうですか。

私はそれだけで、びっくりしてしまったんですが、まだまだあるんですね。

いよいよ祝日の4月30日の朝、カーテンを開けますと、各家々にずらりと赤白青の横縞のオランダ国旗がはためいています。

なんかもう、壮観の一言に尽きますね。

そして、さらにこの日は何びとであろうとも、一日だけの商店主になれます。

アンカー:はい?

商店主になれます。というのは、どんな小さな村や町でも人々が中心地に集まって、不用品を道端に並べて売る、つまりフリーマーケットっていうんですか、青空市が国中で開かれるんです。

アンカー:国中で?

はい。国中の人々が不用品を持ち寄って、広場なり道端に並べて。ちょっと想像おつきになります?

アンカー:いやぁ、どのくらいの規模になるんでしょうね。

私も初めて体験した時は、本当にびっくりしたんですけれども、まあ、おもちゃ、本、食器、衣類、何でもござれです。

売る物が無ければ芸を売りましょうっていうんで、笛とかバイオリンを弾いて、そして足元には帽子を逆さにしておいて、聴いた人はそこにコインを投げ入れると。

アンカー:ああ。例えばその青空市に並べる物は、きちんとクリーニングをして、正札を付けて、というわけではないんですね。

不用品ですから、食器類などは、一応ざっと洗うんでしょうけれどもね。でも手書きで値段は付けます。

アンカー:付けるんですか。平田さんもなさったことあります?

あります。本当に物を売るって、こんなに大変だったのかしらと、つくづくいい経験になったのですが、意外な物が良く売れたんです。

それは日本茶の空き缶と、すき焼き鍋でした。

アンカー:ほう。日本茶の空き缶が売れたんですか。

ええ。さらに千代紙が貼ってあるのなんかは、もう人気があって凄いですよね。

アンカー:へえ。

あと、すき焼き鍋は何にするのかしらと思うんですけれども、鉄板ですから熱の伝導率が良いので、普通にお肉を焼いたり、ホットケーキを焼いたりするんではないでしょうか。

アンカー:ああそうですか。そんな物まで並べていいんですか。

ええ。ですから、この日は本当に家の整理になりますね。

アンカー:では瀬戸物なども、日本的な物があれば喜ばれるかも知れませんね。

そうですね。

あと、私つくづく凄いなあと感心したのは、女王様、王太子ご夫妻をはじめ、王室に連なる一族総勢20人弱が、毎年異なった土地を訪れます。

アンカー:ほう。

訪問先は島であったり、市町村であったりで、これはテレビで一部始終中継されます。

あの、オランダ王室の名前はオレンジ(Oranje、オラニエ)家といいます。果物のオレンジのオレンジですね。ゆえに王室のカラーはオレンジ色。

ですから、この日はオレンジ色の風船が束ねられて市庁舎や街全体に飾られて、国民が王室を最も身近に感じる日です。

アンカー:そうですか。それで、どちらにいらっしゃるのか、というのは予め分るんですか。

え?何ですか。

アンカー:その王室の方々が、どの土地を訪れるのかというのは、予め発表があるのですか。

無いんです。ですから、私たちも凄く楽しみに、テレビをつけて初めて知るんです。

アンカー:わ、それは面白い。サプライズですか。

そうですね。本当にその訪問先の人たちだけしか、知らないわけですから。

アンカー:訪問先の方々は、いらっしゃるということを予め分っている?

ええ、そうなんです。なぜかといいますと、この訪問先ではいろいろな催し物をもう用意しているんですね。

ですから、女王様が市庁舎に着いて簡単なご挨拶をされますと、もう皆が歌って、オレンジ色の風船が大空に放たれて、そして、おめでとうとなって、ここから楽しい一日が始まります。

王室の方々は、そこで用意されている催し物、スポーツですとか、ダンスに加わるんです。

アンカー:加わる?

ええ。

アンカー:ほう。

一緒になさるんですね。何年か前には王太子妃のマクシマ(Máxima Zorreguieta)さんがパン食い競争に参加して、翌日の紙面で大口を開けて、ガブッとパンにかじり付いていた写真が大きく載りました。

アンカー:ああそうですか。へえ。

あと、本当になんていうんでしょうね。日本人の私でさえ、この日は王室を身近に感じます。

例えば、訪問先に着きまして、市庁舎まで沿道を歩いて行かれるわけですが、鈴なりの市民が出迎えているわけですね。

そうすると、小さな女の子がやって来て、花束や自分の描いた絵を女王様に差し出すと、女王様は立ち止まって受け取られて、かがんで、その子にほおずりをされたり。

あと、気候も良くなってますから、街角のソフトクリーム屋さんがソフトクリームを差し出しました。そうすると、王室の方々は手に取って、立ったままペロペロ舐めているんですね。

アンカー:あら、そうですか。

ええ。去年の女王様のお誕生日の映像で、私が記憶に残っているものなんですけれどもね。なんかこう、ふっと心が柔らかくなりますよね。

アンカー:垣根が取り払われてしまうんですね。

そうですね。いいことを言って下さいました。本当に垣根が取り払われます。

ちなみに、ベアトリクスという女王様のお名前は、幸せにする人という意味なんです。

アンカー:ベアトリクスという意味は、幸せにする人?

ええ。幸せにする人という意味です。

アンカー:ああ、そうなんですか。へぇ。

素晴らしいですよね。ですから、あと10日足らずで、国中に喜びのオランダ国旗がはためく女王様の誕生日がまたやってきます。

アンカー:そうですか。会社は皆さんお休みだし。平田さんはその日は、今度何を用意されるんですか。

今年は商店主にならないで、見るだけにしようと思うんですけれども。

アンカー:ああ、出なくてもいいわけですね(笑)

ええ、もちろん。でも、これも朝早く起きて早く行くと、やっぱり掘り出し物があるので、早起きして行こうと思っています。

アンカー:へぇ。掘り出し物というのは何ですか。安くて?

安くて、やっぱり価値のある物で。私は数年前に年代物のワインラックを買ったんですけれども、30年ぐらい前の物なんでしょうか、もっと前かしら。色艶が良くて、いまだに居間に置いて使っています。

アンカー:ああ、そうですか。非常に安く手に入れることができるんですね。

そうですね。もう、お祭りですから、売るほうも買うほうも和気あいあいで、本当に一日中楽しくて、この日は素晴らしい一日です。

アンカー:そういうことがありますと、知らない人同士が仲良くなりましょう?

あ、そうなんです。そしてね、私はいつもアウトホルンの街の青空市に出かけるんですけれども、何年も会わない人がお店を開いていたりして、「あら、まあ」とそこで会話が弾んだりしてね。なんかいくつも輪が広がりますね。

アンカー:ああ、そうでしょうねえ。どうして今年は、お店を出さないんですか。

うーん。じゃあ、ちょっと考えます(笑)

でも、私つくづく感心するんですけれども、雨の日でも風の日でも女王誕生日というのがあって、青空市が開かれて、毎年行われるわけですよね。

ですから、この日に体調を合わせられるという女王様も、王室の方々も、本当に大変でいらっしゃるのだろうなと思うんですけれども。この国は王室の支持率が高いというのも分ります。

アンカー:そうですね。雨が降ってもやるわけですか。

ええ。

アンカー:それは大変ですね。

ええ。肌寒い時もあるんですけれどもね、女王様はちゃんと出てきて下さいまして。

アンカー:そうですか。それは、それは楽しみですね。一度拝見したいものですね。この日しかないわけですからね。

ええ、そうです。ですから、この日、知らないでオランダを訪れた方は、びっくりされると思います。

アンカー:そうでしょうね。ちょうど気候が良くなりますから、観光客も多くなる時季ですよね。

そうですよね。そして、国中がオレンジ色に染まりますから、帽子やジャケットまでオレンジ色にそろえる人がいますので、青空にオレンジ色がぱっと映えて、とっても気持ちがいいです。

アンカー:そうですか。お話を伺っているだけで幸せになれるような、そんな感じがいたしました。

そうですか(笑)

アンカー:ええ。

ぜひ、日本の方はこの時季に合わせて、来て頂きたいと思います。

アンカー:そうですね。オランダに行くなら4月30日と、そういうことですか(笑)

はい。お待ちしております。

アンカー:ありがとうございます。

はい、こちらこそ。

アンカー:失礼いたします。

失礼いたします。
21日放送オランダ・アウトホルンから平田曜子さんのレポート

  • オランダの王室の方々と国民の関係がとても良いことが分りました。ベアトリクスというお名前の意味も素晴らしいですね。平田さんとアンカーのお話は、少し勘違いもありましたが、それも含めて面白いなと私は思います。宇田川アンカーはとても聞き上手ですよね。23時台の俳句のコーナーも気に入っています。(編者)

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