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牛肉輸入と中高校生の混乱
韓国の5月の祝祭日と記念日、マイナス通帳、「両親の日」のプレゼント、「先生の日」の雰囲気の変化、米国産牛肉の輸入条件緩和をめぐる混乱、不穏な団体と中高校生の行動について。
アンカー葛西聖司さん:今夜はソウルから坂野慎冶さんです。こんばんわ。
こんばんわ。
アンカー:あの、初めましてです。葛西聖司です。よろしくお願いします。
こちらこそ、よろしくお願いします。
アンカー:日本は今台風が近付いたり、東京から東北にかけては結構寒いんですけれども、韓国はいかがですか。
あ、この時季に台風ですか。
アンカー:そうなんです。もう台風2号が近付いていましてね、関東地方は、これから明け方にかけて。
そうですか。いやこちらのほうは非常に、いたって気持ちのいい天気です。
アンカー:うらやましいです。
そうですか。昨日は一日中雲っていまして、気温が21度程度で大変過ごしやすい一日でした。先週まで、ソウルは気温が27度まで上がっていて大変暑かったので、平年並みに戻った感じです。
アンカー:ああ、そうですか。
はい。そして、また昨日(12日)は旧暦の4月8日ということで「花祭り」、お釈迦様の誕生日で休みとなりました。
アンカー:ふーん。
それで、土曜日から3連休という会社も多くて、郊外に出かける車で高速道路も混み合っていたようです。
韓国で5月は「家庭の月」と言われているほど、様々な行事がありまして、この「花祭り」以外にもたくさん休みがあります。
アンカー:あの、日本はいわゆる「大型連休」って言って、まとまった休みがありますけれども。先週、韓国の歌手のキム・ヨンジャ(金蓮子)さんに伺ったら「あんまり連休っていうのは、たくさんは無いんですよ」って仰っていました。
その通りです。昨日の月曜日がお休みで、あと、先週の月曜日5月5日が日本と同じで「こどもの日」で休みになっていましたけれども、それ以外は特に休みが無くて、こういった休みも日曜日と重なってしまうと、振替休日というのも無いものですから、日本と比べて休みが少ないなと感じます。
アンカー:ああそうですか(笑)
休みではないんですけれども、例えば今月の8日は、父の日と母の日を合わせた「両親の日」で、15日は「先生の日」、第3月曜日の19日が「成人の日」、そして21日が去年から「夫婦の日」となったそうなんですが、これはあまり知られていないそうです。
アンカー:記念日なだけで、休みではなくね。
はい。
アンカー:「先生の日」って何ですか。
これは名前の通り、先生に感謝をしようという日でして、一般的に今教わっている先生に何かお礼をしたりとか、あるいは卒業した学生や生徒が一年に一度、先生に挨拶をするというような日になっています。
アンカー:ああ。そして、母の日ではなくて「両親の日」?
はい。そうなんです。日本のように別れておりませんで、この日一日が「両親の日」ということになっております。
アンカー:ふーん。
このように行事が多いものですから、子供たちは休みで楽しそうなんですけれども、両親の皆様は出費がかさんで大変そうです。
アンカー:お子さんにね、いろいろと。
はい。韓国銀行の調査によりますとマイナス通帳を利用した借り入れが一番多いのは、やはりこの5月だということです。
アンカー:へえ。
マイナス通帳というのは、通帳を作る時に、ある一定の金額までは預金を下ろすように、何の手続きも無しにお金を借りることができるという通帳のことです。
アンカー:え?預金を下ろさないで、使えるんですか。
預金はゼロなんですけれども、普通のキャッシュカードを使いまして、預金をまるで下ろすように、まあ借金ができるということになりますね。
アンカー:へえ。
ある一定の金額ではあるんですけれども、こうした通帳が一般的に使われておりまして、一番よく使われるのが5月だという話です。
アンカー:ああ、私たちもよくマイナス通帳は慣れてますけれどね(笑)そんな告白しちゃいけませんが。それが5月に多いわけですね。
やはり一番多いということです。両親の日に関するアンケート調査というものが一つあったんですけれども、こうしたマイナス通帳の影響もあるのかなあ、という結果でした。
アンカー:何を贈るんですかね?
いろいろあるんですけれども、この調査では50歳以上の親御さんに「両親にもらって一番がっかりしたプレゼントは何か」という質問だったんですが、一番がっかりしたのは「花」で47%でした。
アンカー:ええ!?
理由は、「気持ちはありがたいんだけれど、実用的ではないから」とういことでした。
反対に、一番がっかりしなかったほうが1位は「現金」、2位は「商品券」だそうです。ずいぶん現金だなあと思いますけれども、それでも真心のこもった手紙というのは喜んでもらえるそうですし、特別な日だけではなくて、いつも連絡してくれるのが一番いい、という意見もありましたから、これは「花だけでは物足りない」という意見なのかも知れませんね。
アンカー:なるほどね。
それから、もう一つ先ほど「先生の日」について簡単にお話ししたんですけれども、今年はちょっと変化がありました。
これまで「先生の日」といいますと、生徒の親が先生に行き過ぎたプレゼントをしているのではないか、つまり自分の子供に良い成績をつけてもらおうと、先生に賄賂を渡しているのではないかという問題が今までありました。
アンカー:ふーん。
そのため「先生の日」になると、まるで先生が悪いことでもしたかのように学校を休みにしたり、あるいは監視員が配置されたりということまでありました。
「先生の日」を休みにした学校は、2年前が70%、去年が50%にもなっていましたが、今年は8%にまで減ったそうです。
アンカー:へえ。
これは学校が、先生がまるで犯罪者のように扱われる雰囲気をなくそうと努力した結果で、今年は運動会やクイズ大会を開いたり、あるいは遠足に行ったり、ご飯を一緒に作って食べたりと、先生と生徒が一緒に過ごせるような努力をしています。
アンカー:結構、先生が苦労する日になっちゃってるんですね(笑)
そうなんですよ(笑)
まあ、先生の日は感謝をする日ではあっても、プレゼントをする日なわけではありませんから、こうした雰囲気が定着してくれれば、先生もうれしいですし、親御さんも出費が抑えられて、マイナス通帳も減って良いのではないかと思っています。
アンカー:坂野さんも先生なんですよね。
はい。そうです。大学や大学院の先生は、それほど問題にならないんですけれども、小学生のほうで、やはり問題が大きかったようです。
アンカー:さあ、それでは今日のメインの話題をお願いします。
はい。今日は食品に関するお話をお伝えしたいと思います。
日本でも食の安全については、いろいろ問題があるでしょうが、今韓国で一番問題になっているのは、アメリカ産の牛肉の輸入の問題です。
韓国では今までBSE(牛海綿状脳症)の危険を避けるために、アメリカの牛肉については、生後30ヶ月未満の牛の中でも、骨を取り除いた肉だけが輸入されてきました。
しかし、先月行われた韓米首脳会談を控えて、韓国政府がアメリカ産牛肉の輸入の条件を大きく緩和して、生後30ヶ月未満の「牛の舌の付け根」と「小腸の端」の2つの部分だけを除く、すべての輸入を認めました。つまり、骨の付いた肉も輸入ができるということで、韓国で人気のある「骨付きカルビ」なども輸入されることになりました。
アンカー:ああ、そうですねえ。
これまで、韓国政府は輸入した牛肉に、ほんの小さな骨のかけらが入っていただけでもアメリカに送り返していたのに、急に韓国政府がこういった措置を執ってしまったので、今韓国の人たちは大変戸惑っています。
政府も交渉の結果について、安くて質の良い牛肉が食べられるようになったと話しただけで、安全に関する話が無かったので、さらに混乱を広げてしまいました。また、アメリカでBSEが発生しても交渉をやり直すことができず、輸入を中断することもできない条件だということで批判が広がっています。
結局、20日ほど経って、ようやく政府がGATT(関税および貿易に関する一般協定)の規定に沿って、国民の健康に害を与える恐れがある場合には再交渉ができると説明したんですが、対応が遅すぎたために、さまざまな根拠の無い噂が飛び交って、混乱に拍車をかけています。
その根拠の無い噂といいますと、例えば「アメリカでは生後20ヶ月未満の牛だけを食べているが、韓国にはアメリカ人も食べない20ヶ月以上の牛だけを輸出する」というものです。
アンカー:ん?アメリカが輸出するっていうことですね。
そういうことです。
しかし、実際にアメリカで流通している牛の97%は20ヶ月未満の牛で、アメリカでも韓国でも同じ牛肉が食べられますから、これはまったく根拠の無いことだといえます。
しかし、こうした噂がテレビのニュースでまで、まことしやかに放送されていました。
アンカー:ああ。本当に根拠の無い噂なんですね?
はい。一般的に情報が少なくて、結末が悲劇的なほど噂が大きくなるといわれているそうですが、今回の混乱は政府の説明不足が大きな原因となっていました。
そして、こうした根拠の無い噂の影響を最も大きく受けたのが、中学生と高校生でした。
中学生や高校生のなかには、「インスタントラーメンのスープを飲むだけでも、BSEが人間に感染する、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病に罹る」ですとか、あるいは「BSEに罹った牛を埋めた場所で育った木からもBSEは感染する」などなど、まったくでたらめな噂を信じている生徒が多いそうです。
アンカー:ふーん。まあ、メールとかね、インターネットで簡単にそういう情報が流れてしまうのは、日本も同じですよね。
そうなんですよねえ。
今回はそういったことに、テレビや一部の新聞までが便乗したので、さらに混乱が大きかったようです。こういったこともありまして、全国で今行われているアメリカ産牛肉の輸入反対集会にも、多くの中学生と高校生が参加しています。
アンカー:へえ。
この週末にも全国で1万5000人が集会に参加していたんですが、そのうちの50%が中学生と高校生だったそうです。こうした状況をみてみますと、本当に恐ろしいのは事実よりも噂のほうなのではないかと感じます。
また、そうしたことを政治的に利用して、不安を煽っている団体もあるそうです。例えば、中学生や高校生の携帯電話には、「5月17日に全国で集会をするから登校を拒否しよう」などというメールが届いているそうなのですが、そのメールは誰が送ったのか判らないように、送り主の番号が0000となっているそうです。
アンカー:ふーん。
どうやら、生徒が自発的に送っているのではなくて、ある団体がまとめてこうしたメールを送っているということで、警察が調査を始めています。
結局、アメリカ産の牛肉が安全かどうかは科学的に調査する問題ですし、もちろん韓国政府が主張している「アメリカ産牛肉は安全だ」という主張が100%正しいかどうかは解りません。しかし、こうした根拠の無い理由で反対しているのは、何か政治的な、あるいは不純な意図があるのではないかと感じられるところです。
韓国のある教授が「韓国では、科学的な問題が政治的な問題になって、対立することが多い。これは客観的に議論する習慣があまり無く、民主化運動でデモに慣れているせいではないか」という話をしていました。
アンカー:へえ。
今回の集会に参加した10代は、もともと今まで政治にまったく関心が無かった世代なんですが、それが社会的な問題に関心を持って、自分の意見を述べるようになったという点は好ましいことだと思います。
ですけれども、最近インターネットの掲示板などで見られるように、根拠が無くても多数の意見が正しいという理論で問題を解決しているような気がして、心配になってきます。
アンカー:ふうん。まあ、中学生や高校生の新しい動き、日本ではちょっと考えにくいことですけれども、でも、ネット社会ですから、飛び火するかも知れませんしね。
そうですね。一度こういうところで火が付いてしまうと、なかなか沈静が難しいようで、韓国政府も今は苦労しているようです。
アンカー:まあ、食品は毎日に関わることですから、また、どうぞ新しい情報をお伝え下さい。ありがとうございました。ありがとうございました。
ありがとうございました。
13日放送韓国・ソウルから坂野慎冶さんのレポート
アンカー葛西聖司さん:今夜はソウルから坂野慎冶さんです。こんばんわ。
こんばんわ。
アンカー:あの、初めましてです。葛西聖司です。よろしくお願いします。
こちらこそ、よろしくお願いします。
アンカー:日本は今台風が近付いたり、東京から東北にかけては結構寒いんですけれども、韓国はいかがですか。
あ、この時季に台風ですか。
アンカー:そうなんです。もう台風2号が近付いていましてね、関東地方は、これから明け方にかけて。
そうですか。いやこちらのほうは非常に、いたって気持ちのいい天気です。
アンカー:うらやましいです。
そうですか。昨日は一日中雲っていまして、気温が21度程度で大変過ごしやすい一日でした。先週まで、ソウルは気温が27度まで上がっていて大変暑かったので、平年並みに戻った感じです。
アンカー:ああ、そうですか。
はい。そして、また昨日(12日)は旧暦の4月8日ということで「花祭り」、お釈迦様の誕生日で休みとなりました。
アンカー:ふーん。
それで、土曜日から3連休という会社も多くて、郊外に出かける車で高速道路も混み合っていたようです。
韓国で5月は「家庭の月」と言われているほど、様々な行事がありまして、この「花祭り」以外にもたくさん休みがあります。
アンカー:あの、日本はいわゆる「大型連休」って言って、まとまった休みがありますけれども。先週、韓国の歌手のキム・ヨンジャ(金蓮子)さんに伺ったら「あんまり連休っていうのは、たくさんは無いんですよ」って仰っていました。
その通りです。昨日の月曜日がお休みで、あと、先週の月曜日5月5日が日本と同じで「こどもの日」で休みになっていましたけれども、それ以外は特に休みが無くて、こういった休みも日曜日と重なってしまうと、振替休日というのも無いものですから、日本と比べて休みが少ないなと感じます。
アンカー:ああそうですか(笑)
休みではないんですけれども、例えば今月の8日は、父の日と母の日を合わせた「両親の日」で、15日は「先生の日」、第3月曜日の19日が「成人の日」、そして21日が去年から「夫婦の日」となったそうなんですが、これはあまり知られていないそうです。
アンカー:記念日なだけで、休みではなくね。
はい。
アンカー:「先生の日」って何ですか。
これは名前の通り、先生に感謝をしようという日でして、一般的に今教わっている先生に何かお礼をしたりとか、あるいは卒業した学生や生徒が一年に一度、先生に挨拶をするというような日になっています。
アンカー:ああ。そして、母の日ではなくて「両親の日」?
はい。そうなんです。日本のように別れておりませんで、この日一日が「両親の日」ということになっております。
アンカー:ふーん。
このように行事が多いものですから、子供たちは休みで楽しそうなんですけれども、両親の皆様は出費がかさんで大変そうです。
アンカー:お子さんにね、いろいろと。
はい。韓国銀行の調査によりますとマイナス通帳を利用した借り入れが一番多いのは、やはりこの5月だということです。
アンカー:へえ。
マイナス通帳というのは、通帳を作る時に、ある一定の金額までは預金を下ろすように、何の手続きも無しにお金を借りることができるという通帳のことです。
アンカー:え?預金を下ろさないで、使えるんですか。
預金はゼロなんですけれども、普通のキャッシュカードを使いまして、預金をまるで下ろすように、まあ借金ができるということになりますね。
アンカー:へえ。
ある一定の金額ではあるんですけれども、こうした通帳が一般的に使われておりまして、一番よく使われるのが5月だという話です。
アンカー:ああ、私たちもよくマイナス通帳は慣れてますけれどね(笑)そんな告白しちゃいけませんが。それが5月に多いわけですね。
やはり一番多いということです。両親の日に関するアンケート調査というものが一つあったんですけれども、こうしたマイナス通帳の影響もあるのかなあ、という結果でした。
アンカー:何を贈るんですかね?
いろいろあるんですけれども、この調査では50歳以上の親御さんに「両親にもらって一番がっかりしたプレゼントは何か」という質問だったんですが、一番がっかりしたのは「花」で47%でした。
アンカー:ええ!?
理由は、「気持ちはありがたいんだけれど、実用的ではないから」とういことでした。
反対に、一番がっかりしなかったほうが1位は「現金」、2位は「商品券」だそうです。ずいぶん現金だなあと思いますけれども、それでも真心のこもった手紙というのは喜んでもらえるそうですし、特別な日だけではなくて、いつも連絡してくれるのが一番いい、という意見もありましたから、これは「花だけでは物足りない」という意見なのかも知れませんね。
アンカー:なるほどね。
それから、もう一つ先ほど「先生の日」について簡単にお話ししたんですけれども、今年はちょっと変化がありました。
これまで「先生の日」といいますと、生徒の親が先生に行き過ぎたプレゼントをしているのではないか、つまり自分の子供に良い成績をつけてもらおうと、先生に賄賂を渡しているのではないかという問題が今までありました。
アンカー:ふーん。
そのため「先生の日」になると、まるで先生が悪いことでもしたかのように学校を休みにしたり、あるいは監視員が配置されたりということまでありました。
「先生の日」を休みにした学校は、2年前が70%、去年が50%にもなっていましたが、今年は8%にまで減ったそうです。
アンカー:へえ。
これは学校が、先生がまるで犯罪者のように扱われる雰囲気をなくそうと努力した結果で、今年は運動会やクイズ大会を開いたり、あるいは遠足に行ったり、ご飯を一緒に作って食べたりと、先生と生徒が一緒に過ごせるような努力をしています。
アンカー:結構、先生が苦労する日になっちゃってるんですね(笑)
そうなんですよ(笑)
まあ、先生の日は感謝をする日ではあっても、プレゼントをする日なわけではありませんから、こうした雰囲気が定着してくれれば、先生もうれしいですし、親御さんも出費が抑えられて、マイナス通帳も減って良いのではないかと思っています。
アンカー:坂野さんも先生なんですよね。
はい。そうです。大学や大学院の先生は、それほど問題にならないんですけれども、小学生のほうで、やはり問題が大きかったようです。
アンカー:さあ、それでは今日のメインの話題をお願いします。
はい。今日は食品に関するお話をお伝えしたいと思います。
日本でも食の安全については、いろいろ問題があるでしょうが、今韓国で一番問題になっているのは、アメリカ産の牛肉の輸入の問題です。
韓国では今までBSE(牛海綿状脳症)の危険を避けるために、アメリカの牛肉については、生後30ヶ月未満の牛の中でも、骨を取り除いた肉だけが輸入されてきました。
しかし、先月行われた韓米首脳会談を控えて、韓国政府がアメリカ産牛肉の輸入の条件を大きく緩和して、生後30ヶ月未満の「牛の舌の付け根」と「小腸の端」の2つの部分だけを除く、すべての輸入を認めました。つまり、骨の付いた肉も輸入ができるということで、韓国で人気のある「骨付きカルビ」なども輸入されることになりました。
アンカー:ああ、そうですねえ。
これまで、韓国政府は輸入した牛肉に、ほんの小さな骨のかけらが入っていただけでもアメリカに送り返していたのに、急に韓国政府がこういった措置を執ってしまったので、今韓国の人たちは大変戸惑っています。
政府も交渉の結果について、安くて質の良い牛肉が食べられるようになったと話しただけで、安全に関する話が無かったので、さらに混乱を広げてしまいました。また、アメリカでBSEが発生しても交渉をやり直すことができず、輸入を中断することもできない条件だということで批判が広がっています。
結局、20日ほど経って、ようやく政府がGATT(関税および貿易に関する一般協定)の規定に沿って、国民の健康に害を与える恐れがある場合には再交渉ができると説明したんですが、対応が遅すぎたために、さまざまな根拠の無い噂が飛び交って、混乱に拍車をかけています。
その根拠の無い噂といいますと、例えば「アメリカでは生後20ヶ月未満の牛だけを食べているが、韓国にはアメリカ人も食べない20ヶ月以上の牛だけを輸出する」というものです。
アンカー:ん?アメリカが輸出するっていうことですね。
そういうことです。
しかし、実際にアメリカで流通している牛の97%は20ヶ月未満の牛で、アメリカでも韓国でも同じ牛肉が食べられますから、これはまったく根拠の無いことだといえます。
しかし、こうした噂がテレビのニュースでまで、まことしやかに放送されていました。
アンカー:ああ。本当に根拠の無い噂なんですね?
はい。一般的に情報が少なくて、結末が悲劇的なほど噂が大きくなるといわれているそうですが、今回の混乱は政府の説明不足が大きな原因となっていました。
そして、こうした根拠の無い噂の影響を最も大きく受けたのが、中学生と高校生でした。
中学生や高校生のなかには、「インスタントラーメンのスープを飲むだけでも、BSEが人間に感染する、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病に罹る」ですとか、あるいは「BSEに罹った牛を埋めた場所で育った木からもBSEは感染する」などなど、まったくでたらめな噂を信じている生徒が多いそうです。
アンカー:ふーん。まあ、メールとかね、インターネットで簡単にそういう情報が流れてしまうのは、日本も同じですよね。
そうなんですよねえ。
今回はそういったことに、テレビや一部の新聞までが便乗したので、さらに混乱が大きかったようです。こういったこともありまして、全国で今行われているアメリカ産牛肉の輸入反対集会にも、多くの中学生と高校生が参加しています。
アンカー:へえ。
この週末にも全国で1万5000人が集会に参加していたんですが、そのうちの50%が中学生と高校生だったそうです。こうした状況をみてみますと、本当に恐ろしいのは事実よりも噂のほうなのではないかと感じます。
また、そうしたことを政治的に利用して、不安を煽っている団体もあるそうです。例えば、中学生や高校生の携帯電話には、「5月17日に全国で集会をするから登校を拒否しよう」などというメールが届いているそうなのですが、そのメールは誰が送ったのか判らないように、送り主の番号が0000となっているそうです。
アンカー:ふーん。
どうやら、生徒が自発的に送っているのではなくて、ある団体がまとめてこうしたメールを送っているということで、警察が調査を始めています。
結局、アメリカ産の牛肉が安全かどうかは科学的に調査する問題ですし、もちろん韓国政府が主張している「アメリカ産牛肉は安全だ」という主張が100%正しいかどうかは解りません。しかし、こうした根拠の無い理由で反対しているのは、何か政治的な、あるいは不純な意図があるのではないかと感じられるところです。
韓国のある教授が「韓国では、科学的な問題が政治的な問題になって、対立することが多い。これは客観的に議論する習慣があまり無く、民主化運動でデモに慣れているせいではないか」という話をしていました。
アンカー:へえ。
今回の集会に参加した10代は、もともと今まで政治にまったく関心が無かった世代なんですが、それが社会的な問題に関心を持って、自分の意見を述べるようになったという点は好ましいことだと思います。
ですけれども、最近インターネットの掲示板などで見られるように、根拠が無くても多数の意見が正しいという理論で問題を解決しているような気がして、心配になってきます。
アンカー:ふうん。まあ、中学生や高校生の新しい動き、日本ではちょっと考えにくいことですけれども、でも、ネット社会ですから、飛び火するかも知れませんしね。
そうですね。一度こういうところで火が付いてしまうと、なかなか沈静が難しいようで、韓国政府も今は苦労しているようです。
アンカー:まあ、食品は毎日に関わることですから、また、どうぞ新しい情報をお伝え下さい。ありがとうございました。ありがとうございました。
ありがとうございました。
13日放送韓国・ソウルから坂野慎冶さんのレポート
- 今日のニュースでは、韓国が米国産牛肉の輸入再開を延期する可能性がある、と報道されていました。アメリカや日本との関係を重視している李大統領のスピードにも、今後はブレーキがかかりそうですよね。それを望んでいるのは、やはり北朝鮮や中国なのでしょうか。(編者)
- 牛の割合を私が書き間違えたので、5月15日に一部訂正しました。(編者)
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