Entries

イチゴと外国人労働者

暑さでビーチが賑わっていること、ロンドン市長に当選したのボーリス・ジョンソンの公約、ポーランドなどからの季節労働者の減少でイチゴの収穫ができないこと、藁葺き屋根の家について。

アンカー宮川泰夫さん:今夜はイギリス、ロンドンから黒川育子さんです。こんばんわ。

こんばんわ。

アンカー:東京はね、初夏とは思えない寒い日が続いているんですよ。

ああ、そうですか。この間まで、ずいぶん暑いと聞いていましたが、寒くなったんですね。

アンカー:ええ。ロンドンは暑いんですって?

ロンドンは先週と土日は真夏のように、25度以上になる所が何ヶ所かありまして、急に暑くなったんで驚いたんですが、今日は初夏並みの爽やかなお天気で、22度ぐらいでしょうかね。

アンカー:ああ、そうですか。

まあ、こちらの人は暑いと嬉しいんでしょうが、かなり浮かれますので、上半身裸で道を歩く人とか(笑)

ビーチも物凄く混みまして、束の間の夏の訪れを喜びました。

アンカー:気温が上がると、もう海水浴場に行っちゃうんですか。

行きます。

アンカー:へえ。

日本では行かないでしょうか。

アンカー:いや、真夏にならないと、なかなか海岸までは出ないと思います。まあ、若い人は違うかも知れませんけれども。

ああそう。面白いですね。

こちらでは、そういう季節に関係なく暑くなると、すぐに行きますね(笑)

アンカー:やっぱり太陽を浴びるという。

そうですねえ。

アンカー:そうですか。さて、今日の話題ですが、ロンドンに新しい市長が誕生したんですね?

そうなんです。前回の放送(参照)の時に、市長選が行われているという話題をお伝えしたんですが、結果は予想されていた通り、現職市長は3期目はなりませんで、保守党公認の国会議員だったボーリス・ジョンソン(Boris Johnson)が、新しく市長に選ばれました。

この人は、今の保守党の党首のカメロン(David Cameron)さんと学生時代からの悪友で、まあ、エリートコースを歩んできた人なんです。国会議員の時にBBCのクイズ番組の司会などを務めまして、イギリス流のシニカルなユーモアのセンスが受けまして、とてもマスコミ受けしている人です。

ただ、市長になって、どこまで本気で仕事をやってくれるかと、そういう疑問視する声もあったんですけれども、市長になって10日ぐらい経ちましたが、出だしはなんとか好調のようなんです。

選挙公約の一つに「犯罪」と、イギリスで今非常に深刻になっている、いわゆる「反社会的行為」という、事件にはならないんだけれども、社会への迷惑行為への対策を公約に挙げていたんです。

まず、6月1日をもって、ロンドンの地下鉄内での飲酒を禁止すると発表しました。

アンカー:ちょっと待ってください。え?地下鉄でお酒を飲む人がいるっていうことですか。逆にいうと。

はい。います。お酒も飲みますし、物も食べますね。

アンカー:ほう。

市民の反応は「できればお酒だけでなく、食べ物も禁止してほしい」という声と、「そんなことをしても効果は無いだろう」という声もあります。

効果が期待できないという人たちの理由は、この規則に今のところ罰則が無いんですね。ですから、地下鉄の職員がお酒を飲んでいる人たちを見つけて「規則でダメですよ」と言っても、罰則を執行する権限はありません。市長は1年以内に立法化すると言っているんですが、現時点では罰則が無いわけですね。もう一つの理由は、「地下鉄の中で乱暴や迷惑行為をする人は、地下鉄に乗る前にかなり酔っぱらっている人で、車内で飲んでいる人は、たいして問題を起こさない。だから問題の対策にはならない」というふうに言っています。

これに対して市長は「まず軽い犯罪とか、反社会的行為というのを抑えたり、減らしたりということで、重大な犯罪に発展する芽を摘む、という効果があると信じている」と言っています。

アンカー:ふーん。

それから、もう一つ公約を果たしました。

前の市長が始めたロンドン新聞の発行の停止です。ロンドン新聞というのは、市の「行政だより」なんですが、300万世帯に無料で配布されていました。これに年間6億円の予算が使われていたんですが、ジョンソン新市長はこれを無駄づかいということで早速廃止しまして、浮いた費用をそっくり植樹に充てると発表しました。

アンカー:ほう。

ロンドンの、特に低所得層の住宅地には緑が少ないために、そういう地域に集中して、1万本の木を植えるそうです。

というように、一般にアピール効果のある公約から一つ一つ実行しているようなんですが、もう一つの公約に、ロンドンに「二階建てバス」を復活させるというのがあります。こちらのほうも、意外に早く実現するかも知れません。

アンカー:あれ?「二階建てバス」って、ロンドン名物でしたけれども、廃止になってたんですか。

そうなんです。前の市長が「二階建てバス」は名物で良いのですが、あまり乗客をたくさん乗せられないということと、運営上ちょっと古いスタイルですので不便が多くて。そこで、二階建てをやめまして、二階を下に降ろしまして、2台つながっているバスというのを新しく導入したんです。2台のバスをアコーディオンの蛇腹みたいにしてつなげて走るんです。そういうふうに変わっていたんです。

ただ、ロンドンの名物ですし、昔の良いものを一つ一つ全部消してしまうのはどうか、と復活させようという声もあるので、ロンドン新市長はそれを公約の一つに挙げていました。

アンカー:まあ、しばらくは、お手並み拝見という感じなんでしょうかね。

そうですね。電車の中でお酒を飲むというのは、宮川さんに聞かれて「ああ、そうか。日本ではそういうことはしなかったかな」というふうに思ったんですが(笑)

アンカー:あの、長距離の列車ではね、楽しむんですけれども、都市を走る地下鉄では、まあ、滅多に見ない光景だと思いますけれどもね。

ニューヨークでも、ずいぶん前に禁止になっておりますので、ロンドンもそれに習って、少しずつ厳しくしていくということになりそうですね。

アンカー:はい。次の話題は。

イギリスの初夏を伝える食べ物にイチゴがあるんですが、今イチゴを始めとする、、、

アンカー:日本もちょうどシーズンですね。

はい。6月の初めがこちらでは本格的なシーズンで、全国で5万トンのイチゴやラズベリーなどのベリー類が出荷されます。イギリスのイチゴは小粒なんですが、大変ジューシーでおいしいです。ただ、今年は値段が少し高めになりそうなんです。

アンカー:ほう。

あの、出来が悪いというのではなくて、収穫する人手が足りなくて、畑に一杯なっているイチゴを出荷できないんです。イチゴやラズベリーという収穫時期が集中して短い果物や野菜の収穫作業というのは、昔から季節労働者に頼ってきているんです。ここ数年は、旧共産圏からEUに加盟した国々からの短期労働者が主な労働力でした。

ところが、今年はここにきて、ポンドがユーロに対して15%も下がりましたので、外国人労働者にとって、あまりうまみが無くなってしまったんですね。

アンカー:なるほど。

それから、特にポーランドからの季節労働者が多かったんですが、去年辺りからでしょうか、急にポーランドが経済力を付け始めまして、今は建設ラッシュなんだそうです。ですから、自国で仕事が見つかるようになったので、はるばるイギリスまで来て、しかも一日中体にきつい仕事をする必要が無くなったということで、ポーランドからの労働者が急に減りました。

それから、もう一つは政府の政策によって外国からの労働者が減っているんです。農業に関しては、EU加盟国以外からの労働者も季節労働者として、一定人数を受け入れているんですが、今年は政府の決めている上限を去年に比べておよそ1万人減らして、1万6000人までと制限したんです。これは、このところ移民人口が急激に増えているために、住宅不足や学校教育現場で支障が起きているためで、その対策として減らしたんですね。ところが、ポーランドからの労働者が、すでに減っているということを読みきれていなかったため、裏目の政策となってしまいました。

ということで、農家では必要な労働力の75%しか確保できていません。収穫できるイチゴの2割が、収穫できずに畑で傷んでしまっているそうです。イングランドとスコットランドの農家で合わせて、日本円にしますと10億円以上の損害が出るといわれています。

一方、スーパーマーケットでは、消費者需要に追いつかないので、海外からイチゴを輸入するということです。まあ、なんという無駄な話なんですが。

イギリスではEUの拡大に伴って移民人口が急激に増えましたので、摩擦が生じたり、あるいは社会基盤を強化しなければならないというような、いろいろな議論が出ているんです。その対策を長期的な視野で、波及効果がどういうことになるのかということを調査して始めないと、思わぬところで障害が出てしまうということを改めて知らされる問題です。

アンカー:なるほど。今日は、もう一つございますね。

はい。藁葺き(わらぶき)の屋根の話題なんですが。

イギリスが誇る美しい田園風景を演出する「藁葺きの屋根の家」というのは、全国にざっと6万戸あります。こういう家は伝統的な家として、多くは建物保存の条例に基づきまして保存登録されています。登録されますと、改築や増築の制限が厳しくなり、藁葺きの家の場合は、一部地域を除いて、国産の茎の部分が長い麦の藁と決められています。

アンカー:ああ、イギリスの藁葺きは、麦藁なんですか。

そうなんです。一部の地域では葦(よし)を使っている所もありますが、麦藁が多いですね。

ところが、去年は雨が多い天候だったために、この種の麦が不作で例年の3、4割しか取れませんでした。このため、1トンあたりの値段が去年の2倍以上になりまして、およそ30万円なんですが、値段が上がったばかりでなく、屋根の葺き替えに足りない状況になっています。

藁葺きの屋根というのは15年から20年の寿命なんだそうですが、「全部を葺き替えずに傷んでいる所だけを替えたり、補強したりということで急場をしのいでほしい」と自治体では言っていますし、それでも足りないことが予想されるので、「規制を緩和して、藁を海外から輸入することを認めてはどうか」ということも言われています。

アンカー:ああ、藁葺き屋根を守るのも大変なんですね。

そうですね。それでもやはり、そういう家に住みたいという人が、まだまだたくさんいますので、無くならずに続いているんですね。

アンカー:なるほど。ありがとうございました。

はい。どうも失礼いたします。
15日放送イギリス・ロンドンから黒川育子さんのレポート

  • ロンドン市長の話は、前回お話しされていた賭けのオッズからの予想通りでした。ボーリス・ジョンソンという人のエピソードは『いぎりすせいかつ』というサイトでも、5日に詳しく紹介されていて面白いですよ。世渡りが下手なような上手いような、サルコジ大統領みたいな人でしょうか。(編者)

2件のコメント

[C14]

農家はかわいそうですけど、これまでポーランド人の季節労働者を安くこき使って儲けていたのですから、こうなるのも自業自得?といっては酷でしょうか?

イギリスの消費者にはぜひ、味・輸出量ともに世界一のフレッシュポーランドイチゴを味わって欲しいですね。
  • 2008-05-17
  • 投稿者 : ぴっちゃん
  • URL
  • 編集

[C15]

ぴっちゃんさん、はじめまして。

おっしゃる通りですね。そして結局、イチゴが値上がりしてしまって、消費者も困ることになるんですよね。私も一度でいいので、世界一のポーランド・イチゴを味わってみたいです。またお立ち寄り下さい。
  • 2008-05-17
  • 投稿者 : 主筆
  • URL
  • 編集

コメントの投稿

新規

投稿した内容は管理者にだけ閲覧出来ます

0件のトラックバック

トラックバックURL
http://sonomatasonoue.blog44.fc2.com/tb.php/151-e5bf84db
この記事に対してトラックバックを送信する(FC2ブログユーザー)

Appendix

いらっしゃいませ

サイト内検索

新着記事

PoweredBy

Powered By FC2ブログ shinyabin