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シンクロチーム北京五輪へ

日本に帰国して感じたこと、エジプトのガソリンやタバコなどの値上がり、庶民のパンの不足、ムバラク大統領のデモ回避策、日本に来たエジプトのシンクロナイズド・スイミング選手について。

アンカー迎康子さん:今日はエジプト、カイロからいつもお伝え頂きます中野眞由美さんが、スタジオに来て下さいました。どうぞよろしくお願いいたします。

よろしくお願いいたします。

アンカー:いつもね、お電話でお話しているんですけれど、お会いするのは初めてで。

そうですね。初めてです。

アンカー:今日は、そのオレンジ色の半袖の上着が鮮やかですね。

ありがとうございます。

やはり海外というか、エジプトに住んでいると色使いが華やかになってくるような気がします。

アンカー:明るい色合いのものが、映えるんでしょうかね。

はい。暑い太陽の光と砂漠には明るい色が映えますね。

アンカー:そしてまた笑顔が印象的で。

ありがとうございます(笑)

アンカー:肩までの髪が揺れていらっしゃいます中野さんです。昨日、日本に帰られたばかりということで。

そうです。昨日、昼過ぎに到着しました。

アンカー:半年ぶりということですけれど、久しぶりの日本はいかがですか。

寒かったですねえ。

アンカー:昨日までちょっとね、5月とは思えないような。

あ、そうなんですか。空港に降り立って、あらー、5月の日本はこんなに寒かったかしら?と驚いてしまいました。

アンカー:だって、いつもエジプトは30度とか、そういうお話が多いですからね。

はい。もうすでに30度超えております。

アンカー:他に何かお気付きになったことはございました?

あとは、近所のガソリンスタンドの値段を見て、え!?こんなに値上がりしたんですかと驚きました。実は、エジプトでも5月5日からガソリンの値段が30%上がりまして、1リットル当たりが1.40エジプトポンドから、1.75エジプトポンドになりました。日本円にすれば1.75というのが35円ほどなんですけれども、物価の水準が日本の1/10程度ですから、まあ、ちょっと高いですね。

アンカー:ああ、だから同じ30円台といっても、ずいぶん影響が大きくて。。。

大きいですね。日本の方でしたら300円ぐらいの感覚ですね。

アンカー:日本でも、皆さんガソリン代が上がって悲鳴を上げていますけれども。

ええ。ところが、このガソリンばかりではなくて、タバコ、1600cc以上の車の税金、私立学校の授業料、こういったものも全て30%ほど値上がりしたんです。

アンカー:一気に30%ですか。わあ、厳しいですね。

厳しいですね。ガソリン代が上がればタクシー料金も上がります。カイロのタクシーはメーター付きのものはごく僅かで、ほとんどのタクシーは相場料金で動いていますから、ガソリン代が上がったその日から相場も上がって、乗る方は料金交渉に熱が入ります。あとは、公営のバスも近日中に上がることが、すでに決まっております。

アンカー:いろんなところに影響が出てくると。

そうなんですね。秋以降、エジプト観光を計画していらっしゃる方にとっては、旅行代金もエジプトの国情を反映して、今よりも少し高くなるんではないでしょうか。すでに、一部のホテルの宿泊料などは上がっておりますし、ピラミッドや博物館などの入場料は、10月から上がることがすでに決まっております。

アンカー:もう値上げの連続ですね。

はい。でも値上げの連続は今に始まったことではないんです。昨年から今まで、ここ1年の物価の上昇率というのが15%から20%なんです。じわじわと上がっております。たぶん日本でも報道されたと思うんですが、社会問題と捉えられているものでは、「エジプトのパンの値上げ」があります。世界的な小麦の値上げが原因といえば原因なんですけれども、エジプト固有の問題もちょっと含んでおります。

アンカー:ほう。

エジプトのパンというのは、直径15cmから20cmぐらいの平たいパンなんですね。今日ちょっと持ってきてるコレなんですけれども、ご覧頂けますか。

アンカー:なんかちょっと、お好み焼きといいますか、大きさが15cmぐらいで平べったいですね。

はい。もうちょっと膨らんでいたのが、持ってくる段階で少し潰れていますけれども、まあ、でもこんなような形なんです。庶民の主食のパンは政府が補助金を出して、1枚5ピアストル(Piastre)、日本円にしますと1円です。

アンカー:へえ。

安く販売しているんですけれども、補助が無いと1枚あたり5倍から10倍の値段です。今、持ってきたこのパンは10円なんです。

アンカー:ちょっと味見してみていいですか。

どうぞ。

アンカー:隅っこのほうを。。。でも、比較的しっかりした感じの手応えですね。

どうでしょう。

アンカー:なんか、乾燥している感じですけれども。

日本に持ってきて2日経ったので、ちょっと乾燥したでしょうか。

アンカー:本当はもっとしっとりと?

出来たては、もっとしっとりしております。でもエジプトですから、1日もしないうちに、あっという間にパリパリになってしまいますけれど(笑)

アンカー:香りがいいですね。

そうですね。普通のイーストの発酵ではないんですけれども、少し酸味のある自然の酵母で発酵しております。

アンカー:へえ。歯応えがしっかりしていて。これをだいたい朝、昼、晩と皆さん召し上がるんですか。

だいたい一食で、1人1枚から2枚ぐらいを食べております。

アンカー:それが5倍から10倍の値段になるというのは困りますね。

困りますね。ですから、皆さん少しでも安いパンを手に入れたいと思っています。それから家畜の飼料というのも値上がりしておりますので、この安いパンを家畜の飼料に転用する人も出てくるんですね。もう取り合いになっている所もあります。

そんなこともあって、地域によっては1人が1日に買えるパンの枚数というのを制限している所もあります。ただ、毎日の生産量が限られていますので、必ず買えるという保証はないんですね。ですから、パンを取り合って喧嘩も起ころうか、というような状況なんです。

こうした事が極まりまして、5月4日がムバラク大統領の誕生日だったんですが、この日に物価高騰に抗議する大規模なデモが計画されていたんです。ところが、4月30日にムバラク大統領が、公務員の給料を5月から30%上げるという緊急声明を出しました。

アンカー:一気に30%も?

そうなんです。

アンカー:これも30%なんですね。

そうなんです。それで、実際に5月1日から30%給料が上がりました。これを受けて、5月4日行うはずだった抗議デモは回避されたんです。

ところがですね、翌日5日には先ほどお伝えしましたガソリン、タバコ、自動車税が同じく30%上がりましたので、これは庶民にとっては寝耳に水でして(笑)

デモをしようにも意気も上がらず、皆さん今では「ムバラクの作戦に、まんまとひっかかった自分たちが馬鹿だった」と。「あの時デモをしておけば、もうちょっと値上げが遅くなったんじゃないか」と、ぼやいているんですね。

日本もエジプトもそうなんですけれども、食料品の高騰というのは、実際なんとかなってほしいなと思いますね。

アンカー:そうですね。やっぱり小麦粉の値上がりというのは、日本でもいろんなところで影響がもう出ていますからね。

そうですね。そんな暗い話題のなか、同じころ母国の騒動を離れて、夢に向かって挑戦を続けるエジプト人の女性たちがいたんです。

アンカー:ほう。

今月の日本の大型連休中に、シンクロナイズド・スイミング日本選手権のオープン競技が、東京辰巳国際水泳場で開催されました。ここにエジプトから9名の選手が、チーム・フリー・ルーティーン(Team Free Routine)で参加しておりました。

アンカー:ほう。

早速、チームの一人ヨムナームル(Youmna Amr)さんに試合の様子を伺ってみました。予選では26チーム中14位で、決勝進出はかないませんでしたけれども、国別でみれば、アジアの国々の中にあって日本、中国、その次にエジプトという成績を収めることができました。

アンカー:へえ。

特に、テクニカル・メリットでは実力が発揮できたという感触があったものの、さすがに課題も残ったそうです。私もシンクロナイズド・スイミングに詳しく無いので分りませんが、リフトという水中から持ち上げる技の高さを常に維持すること、それから最後まで自分たちの演技を持続できるように、スタミナと集中力を付けていくことが課題だそうです。

実はこのチーム、昨年11月に開催されたアフリカ選手権で、大差をつけて南アフリカを破って、北京五輪への参加資格を得ています。

アンカー:へえ。

日本から戻った翌日から、もう北京五輪へ向けて練習が始まっております。

アンカー:そうなんですか。エジプトというのはイスラム圏の国ですよね。

そうなんです。

アンカー:あんまり女性は肌を出したりすることは、許されていないという。。。

あんまり好ましく思われていないんですね。本当にそういう国でシンクロというのは、ちょっと意外です。さらに、それでオリンピックまで出るんですか、って思われますでしょう?ところが、1960年代からエジプトにはショー・ビジネスとしてのシンクロがありました。

アンカー:へえ。

それが1980年代にスポーツとして形を整えて、でもまだエジプト国内だけでトレーニングしていたんですが、1990年代になって、ロシアなど外国からの指導も取り入れるようになって、今に至っているということなんです。

アンカー:じゃあ、ずいぶん歴史があるんですね。

結構あるんですね。イスラムの国とはいえ、エジプトというのはオリンピックですとか、世界的な公式試合に出場できると、これが学校の成績に加算されて、大学進学に有利になるという事情があります。そのせいか、女の子にはシンクロや水泳を習わせる家庭が多いんです。

アンカー:へえ。

まあ、男の子はどちらかというと空手とか、テコンドーという武道が人気ですね。

過去のオリンピックの成績を見てみますと、エジプトは金メダルを7個獲得しています。種目は重量挙げで2個、レスリングで2個、その他に1984年のロサンゼルス五輪で、柔道の山下選手と戦ったモハメド・ラシュワン選手が銀メダルを取っておりますね。それから銅メダルも含めてボクシングなど、やはり格闘技で好成績を収めております。今年の北京五輪でも、メダル獲得といえばレスリングが有力視されているんですね。

こんなふうに、今までは男子の格闘技が中心だったオリンピック出場に、今回は華やかなシンクロナイズド・スイミングが加わるんです。ただですね、強豪が多すぎて、メダルにはまだまだ届かないそうなんです。でも、チームの目標はちゃんとあります。夏のオリンピックは打倒オーストラリアだそうなんです。

アンカー:ほう。

エジプトの選手は皆さん若いんです。15歳から19歳で構成されています。実際「引退は?」と聞くと、もう20歳を過ぎたら引退だそうです。早いんですね(笑)

お話を伺ったヨムナームルさんも16歳の若手なんです。シンクロを始めたのは、チームの中では最も遅く11歳の時なんだそうです。「その分練習は人一倍しましたし、今は自分を信じています」というふうに話して下さいました。

ただ、まだ16歳ですからね、いろいろな誘惑に弱いんですね。なにしろ甘いお菓子ですとか、おいしいエジプト料理といった物も制限します。「太ったら自己嫌悪に陥るのは分っていますから」と。あとは、怪我をしないことが何より大事です。そのためには、大事な家族旅行にも行きません。

アンカー:そうなんですか。

ええ。お留守番するんだそうですね。それから「プールに入れなかったら、何にもなりませんから」と言って、とにかく怪我をしないこと、何か余計な事をして余計な手間がかからないように、16歳でもきちんと自分を律しているんですね。

アンカー:へえ。立派ですね。

立派です。自分が16歳の時を思うと頭が下がる思いなんですが(笑)

今回の日本滞在では、試合の後に大好きなお寿司をたくさん食べてきたそうなんです。

アンカー:お寿司が好物なんですか。

ええ。ここ数年、エジプトでもお寿司が人気になってまいりまして。ところが、やはりエジプトで食べるよりは、ずーとおいしかったということで、寿司桶を抱えて食べたと言っておりました(笑)

それから、最後にディズニーランドと秋葉原にも行ってきて、「いやもう時間が足りなくて」というお話をしている時は、やっぱり普通の16歳なんですね。

それから、その16歳のヨムナームルさんは、鈴木恵美子選手を始めとする日本代表のチームの演技に、惜しみない賞賛を送っておりました。「本当に素晴らしくて感動しました」と、10代の若いエジプト人女性が、憧れと熱い視線を日本チームに向けているんですね。選手としても、一個人としても、自分たちのお手本となっているようなんです。

アンカー:今、中国も大変力を付けているということでね、日本チームも頑張らないとという声が高いですけれどね。

エジプトからも熱い視線が送られていますので、ぜひぜひ頑張ってほしいです。そういった北京五輪がエジプトではどのように放映されるか、今から楽しみにしております。

アンカー:私たちもぜひ、シンクロのエジプトチームの健闘も祈りたいですね。

そうですね。最下位じゃないことを祈っております。

アンカー:中野さんは日本にはいつまで?

2週間の滞在ですので、28日にはもう帰ります。

アンカー:ぜひいろいろな所にいらして。

私もおいしい日本のお寿司を一杯食べたいと思っております。

アンカー:はい。ありがとうございました。

はい。
16日放送渋谷のスタジオから中野眞由美さんのレポート

  • エジプトでも物価高騰がかなり深刻で、大統領への不満がとても高まっているそうです。大統領のデモ回避策は成功しましたが、今後はどうなるのか心配です。シンクロのお話も面白かったです。北京オリンピックでは、ヨムナームルさんを応援したいですね。(編者)
  • 下の映像はYou Tubeより"Egypt Team Free Brasil World Cup 2007"(4分25秒)。2007年10月にブラジル・リオデジャネイロで開かれた国際試合に出場したエジプトチーム。ヨムナームルさんもいらっしゃるらしいです。残念ながら出場した8ヶ国中最下位でしたが、ふつうに素晴らしいですよ。



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