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カンヌ映画祭と中学生たち
第61回カンヌ映画祭でグランプリを獲得した作品、日本のヌーヴェルヴァーグとして知られる黒沢監督、地元の公立の中学生たちの受賞、原油高で船を出せない漁師の抗議活動について。
アンカー葛西聖司さん:今夜はフランス、パリでジャーナリストをしている浅野素女さんです。こんばんわ。
こんばんわ。
アンカー:今日はどんなお天気でしたか。
今日は、午前中は天気が良かったんですけれどね、今、雨が降り出してしまいました。春のお天気は、やはり変わりやすいですね。
アンカー:あの、日本も寒くなったり暑くなったりと、このごろ非常に不安定な天気を繰り返しているんですが、そちらはもう確実に初夏なんですよね。
そうですね。初夏とまでは、まだいかないかも知れないですけれども。ちょうど今、テニスのローラン・ギャロス(Roland Garros)のトーナメントが始まったところなのですが、この時季になると「ああ、もうすぐ夏が近付いて来るんだな」という感じがしますね。
アンカー:さあ、そのパリからは、どんなお話でしょうか。
もう一つ季節を感じさせる催し物に、カンヌ映画祭(Festival de Cannes)がありますね。5月というとカンヌ映画祭なんです。それが昨日(25日)の授賞式で終了しました。
コンペティション部門では、グランプリを取ったのが『壁の内で(Entre les Murs)』、直訳しますと『壁の内側で』ということになるんですが、そういうタイトルのフランス映画でして、英語で、、、
アンカー:ああ、地元の映画が取ったんですね。
そうなんですね。フランス映画がグランプリに輝いたのは、実に21年ぶりのことでして、前回は1987年にモーリス・ピアラ(Maurice Pialat)監督の『悪魔の陽の下に(Sous le soleil de Satan)』という作品でした。
今回のこの『壁の内側で』というのは、英語ですと『クラス(The Class)』、学校の1組2組の「組」のクラスですね、そういう名前になっていましたが、中学校を舞台とした教育問題を描く、中学生たちと教師の物語なんですね。
アンカー:ああ、学園物ですね。
そうですね。壁の内の「壁」は学校の壁であり、教室の壁を意味するわけだと思うんですが、今回、審査委員長を務めましたアメリカの映画俳優で監督のショーン・ペン(Sean Penn)氏は、わりと社会派の作品を今回中心に選んでいますね。
アンカー:ふーん。
同時に、個性の強い作品が集まる「ある視点」という部門では、黒沢清監督の『トウキョウソナタ』が「ある視点」部門での審査員賞を獲得しました。
アンカー:これは日本では結構、話題っていいますかね、やっぱり、、、
そうですよね。大変なことですよね。
アンカー:ええ。今年は日本に伝えられた情報では、今回の映画祭は暗い、重い作品が多いので、黒沢監督の作品がとても受け入れられたのではないか、というふうに報道ではされていましたけれども。
なるほどね。審査委員長のショーン・ペン氏は、わりと現実と密接に結び付いた作品を重要視しているようなので、そうした意向も反映されているのかも知れないですよね。
アンカー:ああ。
黒沢監督は、すでに『アカルイミライ』という作品で、2003年にカンヌ国際映画祭のコンペティション部門にも参加していますから、フランスでも彼の独特の視点が高い評価を得ているんです。
アンカー:その前にね、第54回のカンヌの映画祭で、国際批評家連盟賞も受けているんですね。
そうでしたね。
アンカー:それで、招待作品も1回あって、今度は賞というので、日本ではクロサワというのが、とても受けたんじゃないかとも、いわれているんですけれど(笑)
もちろんクロサワという名前は、フランス人にも親しいですけれど、覚えやすいですし(笑)
アンカー:もちろん作品がね、この方は優れているんですけれどね。
はい。やっぱり日本のヌーヴェルヴァーグ(Nouvelle Vague、新しい波)ということで、フランス人には非常に注目されている映画監督ですよね。
アンカー:でも、フランスが久々に賞を取ったなんて、やっぱり大きい話題ですよね。
そうですね。ですけれども、実は、この作品はスター級の人は誰も出ていない作品なんです。
アンカー:へえ。
皆、演技経験の無い素人が演じています。主役の教師役は本物の教師で、同名の自伝的な小説を書いた方です。フランソワ・ベガドー(François Bégaudeau)という方なんですが、この映画の共同シナリオ執筆にも参加しているんですね。
ですから、フィクションでありながら、ドキュメンタリーの要素もあるような、非常に個性的な作品なんです。
アンカー:ということは、もちろん現代的なテーマも、かなり扱っているということですね。
はい。様々な問題を抱えた中学校で、教師と生徒が格闘するさまを描いたものなんですが、実はこの映画の生徒たちは、私が住んでいますパリ20区の公立のフランソワーズ・ドルト中学という、うちのすぐそばの生徒なんです。
アンカー:えー!?実際の学校の子たちが、集団で出ているんですか。
そうなんです。スターでも何でもない子供たちが、カンヌ映画祭で賞を取って、今日、カンヌから帰って来るわけなんです。それで、朝からテレビ関係者が学校の前に集まりまして、ちょっとした騒ぎなんです(笑)
アンカー:ああ、いいことですねえ。
先ほどの、こちらのお昼のニュースでも、中学の生徒たちがインタビューを受けていました。「僕は出演しなかったから、受賞の知らせを聞いて、ちょっと出演した人たちに嫉妬した」とかね、そうした正直な感想も聞かれました(笑)
アンカー:ふーん。
出演した名も無い子供たちは、主役、スター気分だと思うので、こうした反発もあるかもしれませんし、同時に「よくやったねえ」という友だちの声がうれしいと思いますね。
アンカー:しばらく明るい話題が続くでしょうね。
そうですね。私が住んでおります周辺は、パリの中でも移民層が多くて、優先教育地域というものに指定されている学校が多いんですね。
この公立フランソワーズ・ドルト中学というのもその一つで、国からの特別援助金があったり、一クラスの人数が少なめに制限されているんです。それはなぜかというと、収入の低い家庭の子供たちや、勉強が遅れている子供たちが多い学校だから、ということなんです。
まあ、それだけ問題も多いわけで、実際私の上の息子は近くの別の公立中学に通っておりましたが、そこも結構問題があった中学でしたが、それでも「フランソワーズ・ドルト中学というのは、暴力沙汰もあったり大変なんだよ」と、よく息子も話をしていました。
アンカー:あらあら、いわゆる「荒れる中学」ということですね。
そうですね。でも同時に、そうした中学でも子供たちは活き活きしていますし、先ほどのテレビでのインタビューで校長先生が答えていましたが、子供たちの未来を信頼しているという意識で、先生たちは子供たちの教育に取り組んでいるようです。
アンカー:ああ、いい方向で、この受賞が動くといいですよね。
そうなんですね。まあ、子供たちにこの受賞がどういう影響を及ぼすのか、今の時点では分らないんですけれども。。。でも、演技するというのは、自分を客観視するということですよね。
アンカー:ええ。
ですから、こうした経験を経て、受賞がポジティブな方向へ働いて、子供たちの学ぶ意欲の向上につながれば、素晴らしいことですよね。
アンカー:そうですね。
今回のカンヌのグランプリ受賞は、偶然ながら私個人の住んでいるそばで(笑)そばにいる子供たちのことだったということで、とても親近感があります。
アンカー:おめでとうございます(笑)
私がおめでとうといわれる筋合いは、ないんですけれども(笑)
こうした個性がある作品だということなので、日本でも観られるようになったら、ぜひいらしてみてください。
アンカー:はい。
それから、もう一つのテーマなんですが、この2週間ぐらい、日本でももちろんそうなんですが、ガソリンや軽油の値上がりが激しいですよね。それに本当に困ってしまって、漁師さんたちが怒りを爆発させまして、ストをしたり港を封鎖したり、様々な抗議活動を行っているんです。
アンカー:魚を獲る漁師さんが、ああ、当然漁船の燃料で。
はい。燃料費が要りますよね。その負担があまりにも多すぎて、収入になるばかりか、漁に出たら損になるというギリギリの生活状況に陥っていまして、生きるか死ぬかというところまで、追い詰められている人たちがたくさんいるわけです。それで、「これではもう漁に出る意味がない」ということで、漁船を出さずにいるところも多いんですね。
ここへきて、燃料費の値上がりというのは、ちょっと常軌を逸したものですけれども。これまでも、こうした状況はあったんですが、政府に短期的な援助でなく、長期的な援助をしてほしいということで、抗議行動に出ているわけですね。
それが、かなり過激な運動に発展している所もあります。売っても仕方がないということで、獲ってきた魚を無料で住民に配って、市民にアピールしている漁師もいます。これはまだ平和的なんですけれども、場所によってはスーパーマーケットや卸業者の店に押し入って、売り物の魚を捨てたり、ばら撒いたりというエスカレートした抗議行動をとっている所もあるんです。
アンカー:ふーん。
スーパーマーケットですとか、そうした販売側は、「私たちにこういうことをされても、的外れではないか」ということで、困っている所もあるようです。
アンカー:どこに怒りをぶつけていいか、分らないというのが、死活問題に関わっているだけに、あるんでしょうけれど。
そうですね。それに漁獲量というか、そういうものがEU諸国の間で取り決められていますから、ある程度制限もありますよね。そうした規制を緩めてほしいという要求も背景にあるんですども、今のところ、政府は長期的な援助を約束したのですが、まだまだ事態の収拾には至っていません。
今週の水曜日28日には、EUレベルの協議会があります。また、フランスでは木曜日に会合の席も設けられていますので、それを待って、労働組合も今後どういう行動をとるか決めると思います。
アンカー:日本は今カツオとかね、、、春のタイはもう終わって、季節がありますが、パリの魚は季節感を感じますか。
そうですね、パリは最近はいつでも何でもあるみたいで、野菜や果物と同じで、あまり季節感というのは感じませんね。
まあ、もともとお魚を食べるのは、日本ほど多くはないですよね。宗教的にこちらですと、金曜はお肉を食べないという習慣がありましたので、なんとなくそれが残っていて、、、
アンカー:金曜日?へえ。
はい。金曜日というのは、キリスト受難の日ということで、それの伝統があって、金曜日にはお肉料理をあまり出さなかったり、学校の給食でもお肉でなかったり、というような所が少し残っているんです。
ですから、金曜に魚を食べるような家庭もありますが、日本ほどは消費量は多くないかも知れません。
それに、お魚が高いんですよね。本当に。
アンカー:ああ、そうですかあ。だからこそ、それ以上値上げできないんですね。
ええ。今回のことで、さらに魚に手が届かなくなってくると困りますね。
アンカー:ああ、そういうことも漁業者の方は、かなり神経質になっているということでしょうね。
そうですね。
アンカー:はい、ありがとうございました。明るいニュースと、ちょっと暗いニュースと両方伝えて頂きました。また、次回もよろしくお願いいたします。
はい、こちらこそ。失礼いたします。
27日放送フランス・パリから浅野素女さんのレポート
アンカー葛西聖司さん:今夜はフランス、パリでジャーナリストをしている浅野素女さんです。こんばんわ。
こんばんわ。
アンカー:今日はどんなお天気でしたか。
今日は、午前中は天気が良かったんですけれどね、今、雨が降り出してしまいました。春のお天気は、やはり変わりやすいですね。
アンカー:あの、日本も寒くなったり暑くなったりと、このごろ非常に不安定な天気を繰り返しているんですが、そちらはもう確実に初夏なんですよね。
そうですね。初夏とまでは、まだいかないかも知れないですけれども。ちょうど今、テニスのローラン・ギャロス(Roland Garros)のトーナメントが始まったところなのですが、この時季になると「ああ、もうすぐ夏が近付いて来るんだな」という感じがしますね。
アンカー:さあ、そのパリからは、どんなお話でしょうか。
もう一つ季節を感じさせる催し物に、カンヌ映画祭(Festival de Cannes)がありますね。5月というとカンヌ映画祭なんです。それが昨日(25日)の授賞式で終了しました。
コンペティション部門では、グランプリを取ったのが『壁の内で(Entre les Murs)』、直訳しますと『壁の内側で』ということになるんですが、そういうタイトルのフランス映画でして、英語で、、、
アンカー:ああ、地元の映画が取ったんですね。
そうなんですね。フランス映画がグランプリに輝いたのは、実に21年ぶりのことでして、前回は1987年にモーリス・ピアラ(Maurice Pialat)監督の『悪魔の陽の下に(Sous le soleil de Satan)』という作品でした。
今回のこの『壁の内側で』というのは、英語ですと『クラス(The Class)』、学校の1組2組の「組」のクラスですね、そういう名前になっていましたが、中学校を舞台とした教育問題を描く、中学生たちと教師の物語なんですね。
アンカー:ああ、学園物ですね。
そうですね。壁の内の「壁」は学校の壁であり、教室の壁を意味するわけだと思うんですが、今回、審査委員長を務めましたアメリカの映画俳優で監督のショーン・ペン(Sean Penn)氏は、わりと社会派の作品を今回中心に選んでいますね。
アンカー:ふーん。
同時に、個性の強い作品が集まる「ある視点」という部門では、黒沢清監督の『トウキョウソナタ』が「ある視点」部門での審査員賞を獲得しました。
アンカー:これは日本では結構、話題っていいますかね、やっぱり、、、
そうですよね。大変なことですよね。
アンカー:ええ。今年は日本に伝えられた情報では、今回の映画祭は暗い、重い作品が多いので、黒沢監督の作品がとても受け入れられたのではないか、というふうに報道ではされていましたけれども。
なるほどね。審査委員長のショーン・ペン氏は、わりと現実と密接に結び付いた作品を重要視しているようなので、そうした意向も反映されているのかも知れないですよね。
アンカー:ああ。
黒沢監督は、すでに『アカルイミライ』という作品で、2003年にカンヌ国際映画祭のコンペティション部門にも参加していますから、フランスでも彼の独特の視点が高い評価を得ているんです。
アンカー:その前にね、第54回のカンヌの映画祭で、国際批評家連盟賞も受けているんですね。
そうでしたね。
アンカー:それで、招待作品も1回あって、今度は賞というので、日本ではクロサワというのが、とても受けたんじゃないかとも、いわれているんですけれど(笑)
もちろんクロサワという名前は、フランス人にも親しいですけれど、覚えやすいですし(笑)
アンカー:もちろん作品がね、この方は優れているんですけれどね。
はい。やっぱり日本のヌーヴェルヴァーグ(Nouvelle Vague、新しい波)ということで、フランス人には非常に注目されている映画監督ですよね。
アンカー:でも、フランスが久々に賞を取ったなんて、やっぱり大きい話題ですよね。
そうですね。ですけれども、実は、この作品はスター級の人は誰も出ていない作品なんです。
アンカー:へえ。
皆、演技経験の無い素人が演じています。主役の教師役は本物の教師で、同名の自伝的な小説を書いた方です。フランソワ・ベガドー(François Bégaudeau)という方なんですが、この映画の共同シナリオ執筆にも参加しているんですね。
ですから、フィクションでありながら、ドキュメンタリーの要素もあるような、非常に個性的な作品なんです。
アンカー:ということは、もちろん現代的なテーマも、かなり扱っているということですね。
はい。様々な問題を抱えた中学校で、教師と生徒が格闘するさまを描いたものなんですが、実はこの映画の生徒たちは、私が住んでいますパリ20区の公立のフランソワーズ・ドルト中学という、うちのすぐそばの生徒なんです。
アンカー:えー!?実際の学校の子たちが、集団で出ているんですか。
そうなんです。スターでも何でもない子供たちが、カンヌ映画祭で賞を取って、今日、カンヌから帰って来るわけなんです。それで、朝からテレビ関係者が学校の前に集まりまして、ちょっとした騒ぎなんです(笑)
アンカー:ああ、いいことですねえ。
先ほどの、こちらのお昼のニュースでも、中学の生徒たちがインタビューを受けていました。「僕は出演しなかったから、受賞の知らせを聞いて、ちょっと出演した人たちに嫉妬した」とかね、そうした正直な感想も聞かれました(笑)
アンカー:ふーん。
出演した名も無い子供たちは、主役、スター気分だと思うので、こうした反発もあるかもしれませんし、同時に「よくやったねえ」という友だちの声がうれしいと思いますね。
アンカー:しばらく明るい話題が続くでしょうね。
そうですね。私が住んでおります周辺は、パリの中でも移民層が多くて、優先教育地域というものに指定されている学校が多いんですね。
この公立フランソワーズ・ドルト中学というのもその一つで、国からの特別援助金があったり、一クラスの人数が少なめに制限されているんです。それはなぜかというと、収入の低い家庭の子供たちや、勉強が遅れている子供たちが多い学校だから、ということなんです。
まあ、それだけ問題も多いわけで、実際私の上の息子は近くの別の公立中学に通っておりましたが、そこも結構問題があった中学でしたが、それでも「フランソワーズ・ドルト中学というのは、暴力沙汰もあったり大変なんだよ」と、よく息子も話をしていました。
アンカー:あらあら、いわゆる「荒れる中学」ということですね。
そうですね。でも同時に、そうした中学でも子供たちは活き活きしていますし、先ほどのテレビでのインタビューで校長先生が答えていましたが、子供たちの未来を信頼しているという意識で、先生たちは子供たちの教育に取り組んでいるようです。
アンカー:ああ、いい方向で、この受賞が動くといいですよね。
そうなんですね。まあ、子供たちにこの受賞がどういう影響を及ぼすのか、今の時点では分らないんですけれども。。。でも、演技するというのは、自分を客観視するということですよね。
アンカー:ええ。
ですから、こうした経験を経て、受賞がポジティブな方向へ働いて、子供たちの学ぶ意欲の向上につながれば、素晴らしいことですよね。
アンカー:そうですね。
今回のカンヌのグランプリ受賞は、偶然ながら私個人の住んでいるそばで(笑)そばにいる子供たちのことだったということで、とても親近感があります。
アンカー:おめでとうございます(笑)
私がおめでとうといわれる筋合いは、ないんですけれども(笑)
こうした個性がある作品だということなので、日本でも観られるようになったら、ぜひいらしてみてください。
アンカー:はい。
それから、もう一つのテーマなんですが、この2週間ぐらい、日本でももちろんそうなんですが、ガソリンや軽油の値上がりが激しいですよね。それに本当に困ってしまって、漁師さんたちが怒りを爆発させまして、ストをしたり港を封鎖したり、様々な抗議活動を行っているんです。
アンカー:魚を獲る漁師さんが、ああ、当然漁船の燃料で。
はい。燃料費が要りますよね。その負担があまりにも多すぎて、収入になるばかりか、漁に出たら損になるというギリギリの生活状況に陥っていまして、生きるか死ぬかというところまで、追い詰められている人たちがたくさんいるわけです。それで、「これではもう漁に出る意味がない」ということで、漁船を出さずにいるところも多いんですね。
ここへきて、燃料費の値上がりというのは、ちょっと常軌を逸したものですけれども。これまでも、こうした状況はあったんですが、政府に短期的な援助でなく、長期的な援助をしてほしいということで、抗議行動に出ているわけですね。
それが、かなり過激な運動に発展している所もあります。売っても仕方がないということで、獲ってきた魚を無料で住民に配って、市民にアピールしている漁師もいます。これはまだ平和的なんですけれども、場所によってはスーパーマーケットや卸業者の店に押し入って、売り物の魚を捨てたり、ばら撒いたりというエスカレートした抗議行動をとっている所もあるんです。
アンカー:ふーん。
スーパーマーケットですとか、そうした販売側は、「私たちにこういうことをされても、的外れではないか」ということで、困っている所もあるようです。
アンカー:どこに怒りをぶつけていいか、分らないというのが、死活問題に関わっているだけに、あるんでしょうけれど。
そうですね。それに漁獲量というか、そういうものがEU諸国の間で取り決められていますから、ある程度制限もありますよね。そうした規制を緩めてほしいという要求も背景にあるんですども、今のところ、政府は長期的な援助を約束したのですが、まだまだ事態の収拾には至っていません。
今週の水曜日28日には、EUレベルの協議会があります。また、フランスでは木曜日に会合の席も設けられていますので、それを待って、労働組合も今後どういう行動をとるか決めると思います。
アンカー:日本は今カツオとかね、、、春のタイはもう終わって、季節がありますが、パリの魚は季節感を感じますか。
そうですね、パリは最近はいつでも何でもあるみたいで、野菜や果物と同じで、あまり季節感というのは感じませんね。
まあ、もともとお魚を食べるのは、日本ほど多くはないですよね。宗教的にこちらですと、金曜はお肉を食べないという習慣がありましたので、なんとなくそれが残っていて、、、
アンカー:金曜日?へえ。
はい。金曜日というのは、キリスト受難の日ということで、それの伝統があって、金曜日にはお肉料理をあまり出さなかったり、学校の給食でもお肉でなかったり、というような所が少し残っているんです。
ですから、金曜に魚を食べるような家庭もありますが、日本ほどは消費量は多くないかも知れません。
それに、お魚が高いんですよね。本当に。
アンカー:ああ、そうですかあ。だからこそ、それ以上値上げできないんですね。
ええ。今回のことで、さらに魚に手が届かなくなってくると困りますね。
アンカー:ああ、そういうことも漁業者の方は、かなり神経質になっているということでしょうね。
そうですね。
アンカー:はい、ありがとうございました。明るいニュースと、ちょっと暗いニュースと両方伝えて頂きました。また、次回もよろしくお願いいたします。
はい、こちらこそ。失礼いたします。
27日放送フランス・パリから浅野素女さんのレポート
- カンヌ映画祭で最高賞を受賞した『壁の内側で(クラス)』というフランスの映画は、金八先生のような感じなのかなと思いますが、日本でもいつか公開されるでしょうから、私も観てみようと思います。近所の中学生たちが受賞したことを、浅野さんがとても嬉しそうに伝えてくれました。(編者)
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