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バイエルンのビアガーデン

窓の外やベランダを飾る花、バイエルンの伝統的なビアガーデンには食べ物を持ち込めること、栗の木と砂利、ドイツ人女性監督による映画『Hanami(花見)』の評判、日本への関心について。

アンカー迎康子さん:今夜はドイツ、ミュンヘン郊外の街、ツッチング(Tutzing)から主婦の順子・レナーさんにお話を伺います。順子さん。

迎さん、こんばんわ。

アンカー:こんばんわ。よろしくお願いします。

こちらこそ、よろしくお願いいたします。

アンカー:今日あたりは、お天気はどうですか。

一昨日から北アフリカのほうから高気圧の影響がありまして、急に日中気温が30度を超しまして、真夏のようになりました。

ただ、昨日今日とサハラ砂漠からの砂ぼこりが来まして、それに地中海からの湿った空気が混ざって、曇りでとても蒸し暑いです。この暑さがまだ続きそうです。

アンカー:そうですか。

ええ。

アンカー:今地球儀を思い浮かべながら(笑)、いろいろ地球規模で気候が動いているんですね。

そうですね。外の空気がだいぶ暖かくなってきましたので、木々の新緑がとても綺麗ですし、庭の花も順番に咲いています。4月の中ごろから5月の初めにかけてチューリップが咲いて、その後ライラックやシャクナゲが咲いて、とても目を楽しませてくれています。

アンカー:色とりどりですね。

そうですね。それから、ちょっとこちらで典型的なのは、春になると多くの方たちが、家の窓の外やアパートのベランダを花で飾るんですね。

アンカー:ああ。

それで、ゼラニウムのような花を50cmから1mぐらいの長方形の植木鉢というか、箱のようなものに植えて、窓やベランダに掛けるので、街の中もとてもカラフルで明るい感じになります。

アンカー:へえ。

霜の降りるころまで、ずっとそういう花が街の中で見えます。

アンカー:道行く方にも楽しむことができる季節なんですね。

そうですね、ええ。それから、こういうふうに暖かくなってきますと、ドイツ人は太陽をできるだけ浴びようと、天気の良い日はなるべく外で過ごすようにしているんですね。

それで、特に人気があるのがビアガーデンなんです。やはり5月ごろにシーズンがオープンします。バイエルンやミュンヘンと聞くと、日本でもすぐビールを連想する人が多いと思うんです。

アンカー:そうですね。

そのビアガーデンの発祥地はバイエルンなんですよ。

アンカー:そうなんですか。

ええ。ビールそのものは、とても長くて幅広いテーマになるので、今回は特にビアガーデンについてお話したいんです。

日本の方はビアガーデンと聞くと、たいていは主に大人の男性の方が行くと、解釈なさる方が多いと思うんですけれども、こちらでは老若男女誰でも気軽に行ける憩いの場という感じなんです。

アンカー:ほう。

ええ。家族連れもとても多く、バイエルン人の生活に密着しているんですよ。

ドイツでもバイエルン州以外の所では、野外で飲食できる場所をビアガーデンと呼んでいますけれども、バイエルンの伝統的なビアガーデンでは、自分で持ち込んだ食べ物を食べていいんです。

アンカー:ああ、そうなんですか。

ええ。ちょっと分りづらいというか、あまり馴染みの無い習慣だと思うんですが、バイエルンでは、そういうのが普通なんですよ。

アンカー:なんとなくピクニック気分といいますか。

そうなんです。ただし、持って来ていい物は食べ物だけで、ビールはそこで買わなければいけないんです。

アンカー:なるほど。

ええ。ドイツの他の地域では、食べ物は絶対に持ち込んではいけないんです。そういう習慣があるのは、本当にバイエルンのビアガーデンだけなんです。

私も別の州から引越してきた当時は、とても異様な感じを受けました。今では慣れてしまって、そういうのが普通だなと思いますけれども。

食べ物は持参してもいいんですが、そこで買うこともできます。

大抵はセルフ・サービスみたいな形になっていて、ウエイターのいる所もあって、まあ、いろいろなビアガーデンがありますが、特に食べ物を持って行ってもいいというのが、バイエルンのビアガーデンの特徴ですね。

もう一つの特徴は、ビアガーデンには高い木、特に栗の木があるんですね。その下に木製の長椅子と長テーブルが置いてあって、地面には砂利が敷いてあるんです。

アンカー:へえ。

プラスチックの椅子や日傘とか、コンクリートの地面は「本物のビアガーデンではない」とバイエルンの方は仰っているんですね(笑)

アンカー:ほう。なんかそれは理由があるんですか。

ええ。理由というか、いろいろ歴史があるんです。

ビアガーデンの始まりは、19世紀ごろのミュンヘンだったんですね。当時のビールの醸造は寒い時季だけで、その時の王様のルートヴィヒ1世が「セ氏4度から8度でビールは発酵すべし」という法律を出したんです。

それで、ビールの醸造業者は暑い時季にもビールを販売できるように知恵をはたらかせました。ミュンヘンのイザール川の畔に地下倉庫を作り、ビールを低い温度で貯蔵したんです。

地下なので温度は夏でも低いんですけれども、もっと温度を低くするために、当時は電気冷蔵庫などございませんでしたから、冬に私の家の近くの湖から氷を切り出して、ミュンヘンまで運んで行ったんです。

そうやって、地下でビールの温度を保つのに使ったんです。その氷は夏まで持ったそうです。ただ、氷はとても高価だったので、もっと冷房効果を増すために、葉っぱの多い栗の木をたくさん植えて日陰を造り、地面にも断熱効果のある砂利を敷いたんです。

アンカー:そこで栗の木と砂利が出てくるんですね。

そうなんですね。当時の庶民はビールのジョッキを自分で持って行って、ビールの地下倉庫に自分で買いに行って、それで家で飲んでいたんですけれども、だんだんその場で飲むようになったんですね。そして、簡単に飲めるように木の長テーブルが備え付けられ、どんどんお客さんが増えていったんです。

ところが、たくさんの人が川の畔の地下にビールを貯蔵した大きな醸造業者の所に行ってしまって、街なかの小さい醸造業者が、商売上がったりになってしまったんです。

アンカー:ああ。

それで、零細醸造業者が王様に文句を言ったところ、新しい命令が出たんです。

アンカー:ほう。

それは、郊外の大きい醸造業者のビールの地下蔵の持ち主は、ビールを売ってもいいけれども、食事を売ってはいけないという命令だったんですね。

とはいえビールだけ飲んでいたらお腹が空きますので、その代わり、食べたい人は自分で食べ物を持って行っていいという法律ができたので、それが今のバイエルンのビアガーデンの様子なんですね。

アンカー:ビアガーデンが始まったと。

ええ。

アンカー:そうしますと、日本のビアガーデンは夜というイメージですけれども、夜だけではなくいつでもバイエルンの辺りでは楽しめるというわけですね。

そうですね。昼間から子供連れで、ワイワイ楽しく行ける所です。

アンカー:皆さんやはりお強い方が多いですか。

そうですね。もう大きいジョッキを持って、グイグイ飲んでいらっしゃいます。私は残念ながらビールは嫌いなので(笑)

アンカー:あら、順子さんはダメですか。

ダメなんですね。ミネラルウォーターかジュース程度で、一緒に座って楽しんでおります。

アンカー:そうですか。

それから、もう一つ映画の話題があるんです。今、『Kirschblüten – Hanami(花見)』という映画が、封切り以来すごく話題になっているんです。

アンカー:花見というのは?

これは親日女流映画監督であるドイツ人のドリス・ドリエ(ドリス・デリー、Doris Dörrie)さんという方が作られた映画なんです。この方は日本に20回以上もいらしたことがあって、すごく日本びいきの方なんですね。

アンカー:へえ。

内容としては、主人公のご夫婦がバイエルンのある街に住んでいらして、ご主人は毎日真面目に家とお役所を往復して、たいした興味もなくて、なるべく旅行などもしたくない人なんです。奥さんのほうは家族の世話をして、自分の希望などは口に出さないでいるような、おとなしい方なんです。

成人した3人のお子さんは、それぞれ家庭を持って独立しているんですけれども、1人の息子さんが東京で働いていて、奥さんは一度でいいから日本へ行って、桜の花と富士山を見たいなというのが夢だったんですが、その夢が叶わず急に亡くなってしまうという悲しいところもあるんです。

まあ、その後、出不精の旦那さんが奥さんの夢を自分を通してでも、遅かりしも叶えてあげようと思い立って、日本に住む息子の所を訪ねて行くという筋書きなんですね。

アンカー:はい。

この映画を観て、自分のこれまでの生き方を考え直された方も多いようで、すごく反響も大きかったんです。

アンカー:へえ。

4月25日にはドイツ映画学院とドイツ政府文化庁主催のベルリン映画祭(Deutscher Filmpreis)があったんですけれども、その映画部門で銀賞を頂いて、最高男優賞も勝ち取って、オスカーならぬローラという賞があるんですけれども、その賞を2つも受賞しました。

それで、この映画を観て日本に興味を持つ人も増えまして、このごろ私もいろいろ質問されます。最近は回転寿司のお店なんかも見ますけれども、今までの日本に対する知識といいますと、富士山や芸者程度だったので、日本を宣伝するのに、とても役立っている映画だと思います。

アンカー:ほう。今も花見という映画は公開が続いているんですか。

そうです。ずいぶん長くやっています。

アンカー:順子さんもご覧になって?

ええ、観ました。すごく桜の花が綺麗で、私も感激しました。

アンカー:ふーん。そうですか。そういう日本に関心を持って、映画にしていらっしゃる女性の監督の方がいらっしゃるんですねえ。

そうですね。53歳の方です。

アンカー:へえ。日本への関心も高まっているということで、やはり桜の花のことを聞かれたりするんですか。

そうですね。それから「本当に日本の旅館では、浴衣を着てご飯を食べるんですか」と聞かれることもありました。

アンカー:そうですか。

そういうのが珍しいみたいです。

アンカー:はい。ありがとうございました。

こちらこそ、どうも失礼しました。
30日放送ドイツ・ツッチングから順子・レナーさんのレポート

  • 花見という映画は、2月のベルリン国際映画祭でも注目されていたと永井潤子さんがレポートしてくれていました。すでにドイツでこの映画をご覧になった日本人の方が感想を書かれたブログもいくつもありますから、どんな映画なのかはいろいろ分りますが、なんだか賛否両論のようですよ。(笑)私は日本で公開されるのを気長に待っています。(編者)

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