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大型スーパーとマルシェ

欧州サッカー選手権、ヨーロッパのサッカーファン、バカロレア試験の会場となる公立高校、爆竹の音、市場独占型のフランスの大型スーパー、街の環境と消費者の買い物、お惣菜について。

アンカー葛西聖司さん:今夜はパリから浅野素女さんです。こんばんわ。

こんばんわ。

アンカー:今、サーという音が入っています。ご自宅ですか。

はい。そうです。

アンカー:セーヌ川の流れかなと思いました。雨降っているわけじゃないですよね。

雑音がありますか。

アンカー:ええ。なんかサーという音が入っています。

どうしてでしょう。

アンカー:今日はどんなお天気ですか。

今日は久しぶりにいい天気でして。この一週間ぐずついていたんですけれども、25度ぐらいまで気温も上がりまして、わりと爽やかな季候です。

アンカー:今日はサーという音が入っていると申し上げましたが、今はあまりにもクリアだから、本当にこの電話がヨーロッパとつながっているのかと思うようなこともあるんですが、今日はなんとなく距離を感じます。

そうですか。まあ、地球の裏側ですものね(笑)

アンカー:そうですね(笑)

実はこの週末から、ヨーロッパで欧州サッカー選手権(UEFA)が始まったんです。今日これから間もなくフランスが初めてルーマニアと対戦するんです。

実は私はサッカーとかにあんまり詳しくないので、内容をコメントすることはとてもできないんですけれども、この欧州サッカー選手権というのは、こちらではサッカー好きには堪えられない4年に1度の大イベントなんです。

今夜の試合会場はお隣スイスのチューリッヒなんですけれども、パリ市庁舎の前に大画面が設置されまして、うちの息子も先ほどそこで応援すると言って出かけて行きました(笑)

アンカー:いずこも同じですね。

ええ。ただ日本でサッカーは非常にポピュラーなスポーツになりましたけれども、ヨーロッパとちょっと違うのは、こちらのファンたちは、こうしてカフェですとか、広場ですとか、家庭で集まって皆で徒党を組んで応援するのが大好きなんですね。

アンカー:ふーん。

サッカーを肴に一種のお祭気分が盛り上がるわけですが、ファンの多くは男性ですから、夫がサッカーの試合のたびに友だちを家に呼んできて大騒ぎするから困ると、うんざりだというような妻のぼやきも、あちこちで聞こえています。

アンカー:ああ。家に呼んでテレビを観るというのも、もちろん多いでしょうけれど、今は大画面のテレビで皆で楽しむということですかね。

そうですね。この選手権は29日にウィーンで決勝が行われますけれど、29日まで続きますので、フランスが勝ち残っていけば、これからもっともっと盛り上がっていくでしょうね。ちょっと怖いような気もいたしますが(笑)

アンカー:フランス語でも「サッカー」って言うんですか。

こっちでは「フットボール」って言いますね。足のフットですね。そういう言い方をするんです。

アンカー:英語ぽいんですね。へえ。

そうですね。一方で、6月といいますとサッカーどころではありませんで、フランスでは試験の時期でもあるんですね。

アンカー:何の試験ですか。

来週から高等教育を受けるために欠かせない大学入学資格試験、いわゆるバカロレア試験(Baccalauréat)というのが始まるんです。

アンカー:はああ。それは検定試験ですか。

これを通りますと大学に、国立の大学でしたら行けるわけなんです。日本ですと、それぞれの大学の入学試験を受けるわけですけれども、まあ、ちょっと違うシステムですね。

アンカー:これをまず通ったら、、、

これを通らないと大学ですとか、その他にもグランド・ゼコール(Grande école)というようなエリート校もあるんですが、そういう所に行けないというわけです。これを通らないとしょうがないというような、大事な試験なんですね。

アンカー:へえ。

これは一週間ほど続くんです。高校生たちは今最後の調整に入っているところです。先ほどお話した大学とはまた一つ格が違うグランド・ゼコールという専門校の試験もありまして、これもまたこれから終盤に入るところなんですね。我が家でも地方に住んでいる姪が、最後の口答試験を受けるためにパリに上京してきますので、泊めてお世話することになっているんですが。

アンカー:ふーん。

こういうわけで、7月から始まるバカンス前のこの時期、学生たちにとっては正念場なんですね。

アンカー:ああ。それから長い休暇に入るので、とにかくこれに受からないといけないわけですね。

そうですね。特に夏のバカンスはこちらは長くて、7月、8月、大学生ですと9月も休みというところがほとんどですから、その前の一踏ん張りといいますか、今は大変な時期なんですね。

アンカー:これでいい成績を収めれば、各大学は受けなくていいんですか。

そうなんです。グランド・ゼコールというのはまた別なんですが、一応公立の大学でしたら行けるんですが、やはりその成績によって振り分けられるという面がありますね。

アンカー:なるほどね。今サッカーどころではない若者たちが多いわけですね。

そうなんですね。サッカーと試験の間で引き裂かれている人もいるかも知れないですね(笑)

ちょっと理不尽なのが、公立高校の校舎が試験会場として使われるところが多いんですね。それで、バカロレア試験が始まる来週から、高校はもう授業が無くなってしまうという所がほとんどなんです。

アンカー:ああ、会場になるから。

そうなんです。だから試験のせいで高校生の学習時間が、毎年この時期、最低2、3週間ぐらいは削られてしまうんですね。これもずいぶん理不尽な話だと思うんですが、「これを来年から変えよう」と、「こうした問題が出ないように試験会場を他に確保するなど、なんとか対策を立てよう」ということを今の教育大臣は言っているんです。まあ、そうなって欲しいものだなと思っております。

アンカー:そうですね。その6月が受験シーズンで、今度は長いバカンスが待っていると。なんとなく平和な感じがしますが、今世の中はいろいろ大変なことが起きていますよね。

はい。特に今フランスでは消費者の購買力というのが、すっかり落ち込んでしまっているんですね。。。あ、今爆竹の音が電話を通して聞こえませんか。

アンカー:今、鉄板を叩いているような音に聞こえましたが。

あー、爆竹がうちの近所でもバンバン鳴らされているんですが、これもたぶんサッカーの試合が、あと30分後ぐらいで始まるので、そのせいですね。

アンカー:ああ。いわゆる物騒な爆竹ではなくて、楽しい爆竹?

まあ、そうですね。(笑)これから景気をつけようというか、この機会に乗じて、ちょっと騒ぎたい人たちもいるのかも知れませんね。

アンカー:浅野さん何階でお電話していらっしゃるんですか。

私は1階です。

アンカー:道路から響いてきたのが今聞こえたんですね。

そうですね。

アンカー:へえ。この間は原油価格の値上がりで、漁業関係のストライキと仰っていましたけれど、今はどうですか。

今回は今お話していた、消費者の購買力がすっかり落ち込んでいるという事情なんですけれども、そのために今国会で経済活性化のための法案が議論されている最中なんです。実はフランスの大型スーパーは、他のEU諸国と比べまして、平均して20%ぐらい値段が高いといわれているんですね。

アンカー:スーパーって、安いからスーパーなのに、高いんですか。

他の国に比べてということなんですが。

アンカー:ああ。

それでフランスの人たちのお給料も、それほど上がっているわけでないのに、そうした生活に必要な物の値段が、ここ数年グンと上がっていると。ひっ迫感が非常にあるわけですね。

特にフランスの場合、大型スーパーが意外と、一つの地域に一つのブランドの大型スーパーしかないという市場独占型なんですね。

アンカー:へえ。

どうしても、一つだけだったら値段は吊り上げやすいですし、大型スーパー同士の競争を高める必要があるんではないかということで、さまざまな提言がなされているわけです。

かといって、大型スーパーが増えると身近な小さな商店街のお店に打撃を与えることになりますよね。そうしたことを心配する声も非常に大きいです。例えば、大型スーパーというのは街外れに、どーんとあるところが多いんですけれども、実際住んでいてわりと時間に余裕があれば、近所の店で良い物を買いたいという庶民の声もあるわけですね。

これから街づくりをどういった形でやっていったらいいのかを含めて、街の環境として、お店作りをどうしていったらいいか、そうしたことが今議論の中心なんですが。

アンカー:私はフランス系のスーパーの名前を一つ知っていますけれど、ということはそのスーパーがほとんどなんですか。

いくつかいろんなスーパーがありますけれどね。一つのスーパーが一つの地域を押さえているという形になっているのが問題なのかも知れないですね。

日本の皆さんも、駅ビルや近所のスーパーでお買い物をするのが普通だと思いますけれども、フランス人の場合、働き盛りの人たちがいて、しかも子供がいて、女性も働いている人が多いですから、時間が無い場合は、大型スーパーで一週間分の食料をまとめ買いするというのが、結構一般的なスタイルなんですね。

そうすると、近所の小売店はなかなか立ち行かなくて、潰れてしまうところがあります。

それでも、まだこちらでは市場というのが街角のあちこちにあるんですよ。

アンカー:あれ綺麗ですよね。あの果物、野菜がね。マルシェっていうんでしょ。

そうですね。週に2、3回このマルシェが立ちますから、そこで野菜や果物、魚、肉、チーズなどわりとフレッシュなものが買えるのが魅力ですね。ですから、私も最近は大型スーパーに頼った買い物の仕方を自ら改めようと思いまして、ちょっと面倒くさくても多様性を持たせた買い物といいますか、これは市場で買おうとか、小さな店で買おうとか、なるべく振り分けるようにしています。

アンカー:ああ、そうですね。

といいますのは、大型スーパーというのは品揃えが多様なようでいまして、結局は私たち消費者が選ぶのではなくて、あちらが売りたい物を買わされているなという印象を持つこともありますから。やはり、選べる自由というのは確保したいですよね。

アンカー:浅野さん、今日本でもバターが売っていないんですよ。

ああ、それが大変だそうですね。

アンカー:それと食用油とか、うどんとか、蕎麦とか、インスタントラーメンの値が上がっていたり、非常に細かい値段が一杯あるんですよ。大変なんです日本も(笑)

そうですね。フランスも生活に必要な乳製品ですとかが、かなり高くなりましたから、ある意味世界的な傾向なんだと思いますが。

あと、一つ寂しいなあと思うのは、うちの近所のスーパーも、しばらく前に大改造したんですが、その時に大幅人員削減がなされました。以前は店員さんがいて、サービスしてくれたお惣菜コーナーですとか、お魚のコーナーが無人になってしまったんですね。

アンカー:ふーん。

人がいれば「これはどうやって調理したらいいんだろう」とか、「このお魚はどこから来たんだろう」と会話ができたわけですけれど、今はすっかりそういう事ができなくなりましたね。

アンカー:ああ。

これは非常に残念だし、こちらとして買う意欲をそぐような改造だったんじゃないかなと思うんですけれども。買い物というのは、やっぱり人がいてするのも一種の魅力だと思うのは、フランス的なのかどうか(笑)

アンカー:いや、個人商店の魅力はそこですね。「どうやって料理するの?」とか聞きながらね。

はい。いろんな情報がそこで回るというのが、一つの魅力ですよね。

アンカー:今「お惣菜」という言葉がすっと出てらしたんですが、私はすぐ「おから」と想像したんですが。(笑)フランスのお惣菜って何ですか。

フランスのお惣菜といいますとね、結構いろいろ手のこんだ物もあるんですけれどもね、野菜とジャガイモのドーフィネ風というんですか、グラタン風にジャガイモを料理したものですとかね。それに豚肉関係のものですよね。いろいろな種類のソーセージもあります。あとは、ピラフのようなものも出来てて売っている所もありますね。

アンカー:ああ、お腹空いてきました(笑)

ですから、こうした何をどうやって買うかという消費者の姿勢が街づくりに密接に関わってくるので、今国会で議論されていることも、こうした庶民の感覚と密接に結び付いた方向に行くといいなと思います。

アンカー:はい。お話している間にサーという音も薄くなってまいりましたし、、、

ああ、そうですか。

アンカー:爆竹がまた聞こえる前に、今夜はこの辺にしておきましょう。

はい(笑)

アンカー:ありがとうございます。

どうも。失礼いたします。
10日放送フランス・パリから浅野素女さんのレポート

  • 爆竹の音は分りましたが、私はサーという音がじっくり聴いてみても分りませんでした。ラジオを通してなので、聴こえなかったのだろうと思います。フランスとルーマニアの試合は結局0-0の引き分けに終わったそうです。(編者)

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