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国旗とリュックサック
夏を運ぶ6月の新ニシン、塩漬けニシンをパンに挟んで食べること、中等学校の卒業論文発表、国旗と共に掲げるリュックサック、オランダの中等学校の仕組みと卒業式の様子について。
アンカー宇田川清江さん:オランダ、アウトホルンから平田曜子さんです。平田さん。
こんばんわ。
アンカー:こんばんわ。よろしくお願いします。
こちらこそ。
アンカー:そちらの天気はどうですか。
爽やかですね。今日は最高気温が17度、最低気温は9度です。
アンカー:まだ寒いじゃありませんか。
ええ。2週間前から比べますと、ちょっと朝夕冷えますね。でも、とても爽やかで、夜10時まで明るいんですね。
アンカー:そんな遅くまで明るいですか。
ええ。ですから、やっぱり夏なんでしょうね。
アンカー:睡眠不足になりませんか。
うーん。ちょっとね(笑)
でも、本当に気持ちが良くてね、夜の9時頃、私は散歩に出るんです。とても気持ちが良いです。
アンカー:そうでしょうね。
はい。
アンカー:どんな花が咲いています?
えと、オオマツヨイグサですとか、アジサイですとか。本当に深夜便の6月の「誕生日の花カレンダー」のお花が咲いています。
アンカー:そうですか。
はい。
アンカー:今日はどんな季節の話題でしょうか。
今年も新ニシンがオランダに夏を運んできてくれました、という話題です。
6月の第1週になりますと、魚屋の店先に「新ニシンが入荷しました」という張り紙が出るんですね。オランダ人はヨーロッパで魚を生で食べる数少ない国民です。そして、この新ニシンを生で食べるんです。
それで、「何は無くとも、これを食べなくては夏が始まらない」という人が大勢います。日本で言いましたら、初鰹のようなものでしょうかね。
アンカー:ああ、そうですか。
ええ。例年ですと、6月の第1週の金曜日が発売解禁日となっているんですが、今年は1日早まりました。
ニシンといっても、日本で見慣れているそれとは、ちょっと違うんですね。これは取れたてのニシンを塩漬けにしたもので、魚屋さんはその頭、皮、背骨、中骨を取って、尻尾だけを残します。この状態で全長が約20cmです。
やっぱりこちらはパン食ですから、薬味にタマネギのみじん切りと、キュウリのピクルスを添えて渡されるんです。
アンカー:ほーう。そうすると、ニシンは頭を取って、三枚におろしたような形にして、塩漬けにして、皮も取ってしまうんですね。
そうですね。すぐに食べられる状態で、私どもは買いますね。
アンカー:塩はかなりきついんですか。そうでもない?
かなりきついですよ。ですから、何も付けなくて、そのままで食べるという感じですね。
アンカー:ああ、そうですか。
ええ。とにかく私もそうなんですが、6月の第1週の水曜日は、カレンダーに赤く丸印を付けておくんですね。この日に真っ先に行こうと思って。
アンカー:ええ!?
そういう人が大勢いまして。とにかく一刻も早く食べたい、味わいたいという人たちは、魚屋さんで買って、そのまま立ったまま食べます(笑)
アンカー:そんなに待ちかねて食べるんですか。
待ちかねてますね。尻尾が付いていますので、男性は豪快に尻尾を持ったままかぶりつき、女性はそういう方もいらっしゃいますが、一口大に切ってもらって、爪楊枝で口に運んでいると。
アンカー:へえ。
さらに、やっぱりパン食ですから、ちょっと塩味の付いたコッペパンのようなパンがあるんです。それに挟んで食べます。これが食事代わりですね。
アンカー:ほう。生臭くはないんですね。
食べている時は全然感じないんですけれども、食べた後は「あ、やっぱり生臭いかな」と思うんです。でも、それよりも美味しさのほうが勝って(笑)
アンカー:へえ。
このニシンは一年中あるんですが、新が付くのは今の時季だけなんですね。
アンカー:ほう。
やっぱり美味しさが、もう例え様がありませんで、脂がのって、身がしまって、口に含むとコリコリとして、さらにねっとりとしてくるんです。
アンカー:ほう。
塩気と脂気がありますのでビールや、こちらにはジェネバ(Genever)というオランダ焼酎があるんですけれども、このジェネバによく合います。
アンカー:ああ、そうですか。ニシンって割合、脂肪分がありますよね。
ありますね。ですから、発売解禁日には、おちょこぐらいの小さなグラスにジェネバを振舞う魚屋さんもあります。
アンカー:魚屋さんが?
ええ。私どもは飲んで、食べて、夏の到来を味わっています。
アンカー:ほう。そのジェネバというのは、アルコール度が結構きついんですか。
きついんですよ。えと、アルコール度が38度ですとか、、、
アンカー:おお(笑)
ですから、ほんのおちょこ一杯で、かなり効きますね。
アンカー:そうですか。
ええ。これにまた脂気と、塩気のある新ニシンがよく合うんですよ。
アンカー:そうですか。
はい(笑)
アンカー:平田さんもそうやって召し上がるんですか。
私はですね、やっぱりタマネギよりも、すりおろした生姜と、ネギのみじん切りのほうが合うと思うので、ちょっとお醤油をたらして頂きます。これまた日本酒とビールがよく進みます(笑)
アンカー:おいしそう(笑)
ですから、これからオランダにみえる方、ぜひお味見してください。
アンカー:それはいつ頃まで、そうやって頂けますか。
一年中出ているんですけれども、やっぱり新ニシンというのは9月頃までですね。
アンカー:9月ぐらいまで?
ええ。屋台も出ているんですよ。オランダ語でハリング(Heringe)と言います。
アンカー:ハリング?
はい。そうです。
アンカー:ハリングと言えば、それをもらえるんですね。
そうです。
アンカー:いくらぐらいですか。
えと、今は日本円で300円ぐらいですかね。
アンカー:ああ、そうですか。それは手頃でいいですね。
本当に。宇田川さんも、ぜひいらしてください。
アンカー:ええ。私も今、生唾飲み込んでいます。平田さんはいつも美味しいお話をしてくださるんですもの(笑)
はい(笑)
さて、お次は今サッカーのヨーロッパ選手権が始まって、ナショナルチームのオレンジ色の旗が国中にはためいているんですけれども、その中に国旗とリュックサックもはためいているんです。
アンカー:はい?リュックサック?
国旗とリュックサックです。
アンカー:ほう。何ですそれ?
国旗ですから、何かのお祝いのはずなんですが、その先にリュックサックがぶら下がっています。それも、かなり使い続けた物で相当くたびれているんです。これは先週の木曜日から揚がり始めまして、雨が降っても、とにかく1、2週間は出ています。
アンカー:何なんですか。そのリュックサックって。
これはですね、中等学校の卒業試験に合格した喜びと誇りの証しなんです。
アンカー:へえ。
中等学校と申しますのは、中学と高校が一緒になった学校です。
アンカー:いわゆる日本でいえば「高校卒業」ですか。
そうです。はい。
それで、なぜリュックサックかと申しますと、このリュックサックに教科書を入れて、生徒は数年間通学するわけですね。苦楽を共にした僕たちの、私たちの相棒というわけです。
アンカー:ほう。
ですからゆえに、このリュックサックに敬意を表して、国旗と共に堂々と掲げるんですね。その家の前を通ると、一目で「ああ、ここの家の子供は難関の卒業試験に合格したんだわ」と分るんです。
アンカー:卒業が、そんなに難しいんですか。
難しいんですよ。本当にもう留年も当たり前です。
ですから、その前を通った時に、子供や家の方が出ていると「おめでとう」と声を掛けずにいられません。
アンカー:ああ、そうですか。
オランダは中学と高校の一貫教育です。3つのコースに分かれていまして、職人を目指すなら4年、専門学校へは5年、大学へは6年ここで学びます。どのコースも一年一年進級するのが大変で、留年も珍しくないのです。
アンカー:そうすると、最短は4年だけれども、4年じゃない子もたくさんいるわけですね。
一杯います。
アンカー:へえ。
どんどん落とされますから。その留年もたくさんいて、さらに卒業論文というのがあって、これまた難しいんです。私は息子を見ていていまして、これは日本でいう大学の卒論ではないかと感じましたね。
アンカー:ああ。日本の高校ではあまり、卒論って聞きませんものね。
そうですね。彼の場合はビール醸造という問題に取り組んで、実際にビール造りに挑戦して、すごい膨大な時間と情熱をかけて取り組みました。結果、とても飲める代物ではなかったそうです(笑)
アンカー:自分で作ってみるわけですか。
はい。そうです。
アンカー:へえ。
すごいですよねぇ。本当に。
アンカー:そんなに勉強するんですか。
ええ。卒業論文の発表会を聴きに行ったんですが、どの子も一年前から準備して仕上げたというだけあって、内容は濃いものでした。
アンカー:ああ、そうですか。
ええ。日本と大きく違うのは、この卒業試験に合格しなければ次に進めないのです。働こうにも進学しようにも、この中等学校の卒業証明証が無ければどうにもなりません。日本のように「9年間の義務教育を終えれば、取りあえず卒業証書をもらえる」というのとはわけが違います。
アンカー:はあ。。。退学をしてしまう子はいないんですか。
思春期ですからね、たしかに道にそれる子もいるんです。でも、何といってもここの証明証をもらわなければ、どうにも正規の仕事には就けませんから、やっぱり夜学に行ったりして、最後は卒業しますね。
アンカー:そうなんですか。厳しいんですね。
はい。何年間か寄り道をしても、最後は手にしますね。
アンカー:ああ、そうですか。
ええ。あとは誰も彼もが大学に行くのではなくて、本当に学びたい者だけが大学に行きます。日本のような受験というものはありません。
この中等学校の卒業試験に合格すると、それだけでもう価値がありますので、進学コースの人たちは希望の大学の学科に進めます。
アンカー:ああ、そうですか。大学に行くための試験は、改めて無い?
はい。ありません。
アンカー:ほう。
ですから、それほど実のある、内容の濃い教育内容だということですよね。
アンカー:なるほどね。そうですか。
ええ。オランダの国土面積は日本の九州ほどの広さです。大学は全部で13校で、そのほとんどは国立です。ですから、私が「大学生の息子がいる」と言うと、人様は「どこの大学?」と言うのではなくて、「何を専攻しているの?」と最初に聞いてきます。
アンカー:ああ、なるほど。そちらのほうが重要なんですね。
はい。そうですね。また、職人を育てる仕組みがきちんと出来ていて、これも素晴らしいと思いますね。
アンカー:そうですか。長い時間かかって出来た仕組みなんでしょうね。
そうですよね。本当に素晴らしいと思います。
さて、晴れて卒業試験に合格しての卒業式なんですが、もうパーティーでしたね。男子はスーツ、女子は方や胸が大きく開いたドレスで、学校のホールの壇上に勢ぞろいします。
ホール一杯に並べられた椅子には、親、兄弟、祖父母までが来ています。それで、オランダではビール、ワイン、タバコは16歳からOKですから、壇上の生徒も、ホールの我々もシャンペンが配られて、シャンペングラスを手にして、向かい合わせで乾杯です。
傍らでは吹奏楽部が音楽を奏でて、堅苦しい挨拶は一切無し。
アンカー:いいですねえ。
いいですね(笑)
担任が下から、壇上の生徒一人一人に卒業証書を手渡すんですが、この時に横で進路指導の職員がマイクを通して、それぞれの成績を発表するんです。
アンカー:えー!
例えばこんな具合です。「彼の数学は追試でやっと通りました」あるいは、「昨年の留学をバネにして、晴れて合格おめでとう」あるいはですね、「全教科最高得点、素晴らしい」などなどで、ホールの我々もどっと笑ったり、感嘆の溜息を漏らしたり、もうずーっと拍手のしっぱなしですね。
アンカー:ああ、でも、それぞれ努力の甲斐があって卒業でしょうからね。
そうですね。ですから、本当に今の時季、6月の風に揺れる国旗とリュックサックというのは、オランダの夏の始まりの風物詩なんですよ。
アンカー:そうなんですか。
はい。
アンカー:へえ。でも担任の先生が、壇上の生徒に卒業証書を渡すというのも、またいいですね。下から渡すというのもね。
そうですね。ちょっと胸が熱くなりましたね。日本と全く違う仕組みですし。渡して、握手して。
なんか、今想い出しても胸が熱くなります。
アンカー:6年間も一緒にいてね。所変われば品変わると言いますけれど、ずいぶん違うものですね。
そうですね。私も新たな、素敵な経験をさせてもらっています。
アンカー:リュックサックが国旗と一緒にたなびきますか。。。そのリュックサックは、何色なんですか。
皆それぞればらばらです。指定の物はありませんので、赤もあれば茶色もあれば。もうばらばらです。
アンカー:そうですか。一週間ぐらい見られるんですね。
はい。そうです。ですから、今の時季オランダに見える方、どうぞ新ニシンは味わえますし、国旗とリュックサックは眺められますし、ぜひどうぞ。
アンカー:伺うなら今ですか。
そうですよ(笑)
アンカー:ありがとうございました。
いいえ。どうも。
16日放送オランダ・アウトホルンから平田曜子さんのレポート
アンカー宇田川清江さん:オランダ、アウトホルンから平田曜子さんです。平田さん。
こんばんわ。
アンカー:こんばんわ。よろしくお願いします。
こちらこそ。
アンカー:そちらの天気はどうですか。
爽やかですね。今日は最高気温が17度、最低気温は9度です。
アンカー:まだ寒いじゃありませんか。
ええ。2週間前から比べますと、ちょっと朝夕冷えますね。でも、とても爽やかで、夜10時まで明るいんですね。
アンカー:そんな遅くまで明るいですか。
ええ。ですから、やっぱり夏なんでしょうね。
アンカー:睡眠不足になりませんか。
うーん。ちょっとね(笑)
でも、本当に気持ちが良くてね、夜の9時頃、私は散歩に出るんです。とても気持ちが良いです。
アンカー:そうでしょうね。
はい。
アンカー:どんな花が咲いています?
えと、オオマツヨイグサですとか、アジサイですとか。本当に深夜便の6月の「誕生日の花カレンダー」のお花が咲いています。
アンカー:そうですか。
はい。
アンカー:今日はどんな季節の話題でしょうか。
今年も新ニシンがオランダに夏を運んできてくれました、という話題です。
6月の第1週になりますと、魚屋の店先に「新ニシンが入荷しました」という張り紙が出るんですね。オランダ人はヨーロッパで魚を生で食べる数少ない国民です。そして、この新ニシンを生で食べるんです。
それで、「何は無くとも、これを食べなくては夏が始まらない」という人が大勢います。日本で言いましたら、初鰹のようなものでしょうかね。
アンカー:ああ、そうですか。
ええ。例年ですと、6月の第1週の金曜日が発売解禁日となっているんですが、今年は1日早まりました。
ニシンといっても、日本で見慣れているそれとは、ちょっと違うんですね。これは取れたてのニシンを塩漬けにしたもので、魚屋さんはその頭、皮、背骨、中骨を取って、尻尾だけを残します。この状態で全長が約20cmです。
やっぱりこちらはパン食ですから、薬味にタマネギのみじん切りと、キュウリのピクルスを添えて渡されるんです。
アンカー:ほーう。そうすると、ニシンは頭を取って、三枚におろしたような形にして、塩漬けにして、皮も取ってしまうんですね。
そうですね。すぐに食べられる状態で、私どもは買いますね。
アンカー:塩はかなりきついんですか。そうでもない?
かなりきついですよ。ですから、何も付けなくて、そのままで食べるという感じですね。
アンカー:ああ、そうですか。
ええ。とにかく私もそうなんですが、6月の第1週の水曜日は、カレンダーに赤く丸印を付けておくんですね。この日に真っ先に行こうと思って。
アンカー:ええ!?
そういう人が大勢いまして。とにかく一刻も早く食べたい、味わいたいという人たちは、魚屋さんで買って、そのまま立ったまま食べます(笑)
アンカー:そんなに待ちかねて食べるんですか。
待ちかねてますね。尻尾が付いていますので、男性は豪快に尻尾を持ったままかぶりつき、女性はそういう方もいらっしゃいますが、一口大に切ってもらって、爪楊枝で口に運んでいると。
アンカー:へえ。
さらに、やっぱりパン食ですから、ちょっと塩味の付いたコッペパンのようなパンがあるんです。それに挟んで食べます。これが食事代わりですね。
アンカー:ほう。生臭くはないんですね。
食べている時は全然感じないんですけれども、食べた後は「あ、やっぱり生臭いかな」と思うんです。でも、それよりも美味しさのほうが勝って(笑)
アンカー:へえ。
このニシンは一年中あるんですが、新が付くのは今の時季だけなんですね。
アンカー:ほう。
やっぱり美味しさが、もう例え様がありませんで、脂がのって、身がしまって、口に含むとコリコリとして、さらにねっとりとしてくるんです。
アンカー:ほう。
塩気と脂気がありますのでビールや、こちらにはジェネバ(Genever)というオランダ焼酎があるんですけれども、このジェネバによく合います。
アンカー:ああ、そうですか。ニシンって割合、脂肪分がありますよね。
ありますね。ですから、発売解禁日には、おちょこぐらいの小さなグラスにジェネバを振舞う魚屋さんもあります。
アンカー:魚屋さんが?
ええ。私どもは飲んで、食べて、夏の到来を味わっています。
アンカー:ほう。そのジェネバというのは、アルコール度が結構きついんですか。
きついんですよ。えと、アルコール度が38度ですとか、、、
アンカー:おお(笑)
ですから、ほんのおちょこ一杯で、かなり効きますね。
アンカー:そうですか。
ええ。これにまた脂気と、塩気のある新ニシンがよく合うんですよ。
アンカー:そうですか。
はい(笑)
アンカー:平田さんもそうやって召し上がるんですか。
私はですね、やっぱりタマネギよりも、すりおろした生姜と、ネギのみじん切りのほうが合うと思うので、ちょっとお醤油をたらして頂きます。これまた日本酒とビールがよく進みます(笑)
アンカー:おいしそう(笑)
ですから、これからオランダにみえる方、ぜひお味見してください。
アンカー:それはいつ頃まで、そうやって頂けますか。
一年中出ているんですけれども、やっぱり新ニシンというのは9月頃までですね。
アンカー:9月ぐらいまで?
ええ。屋台も出ているんですよ。オランダ語でハリング(Heringe)と言います。
アンカー:ハリング?
はい。そうです。
アンカー:ハリングと言えば、それをもらえるんですね。
そうです。
アンカー:いくらぐらいですか。
えと、今は日本円で300円ぐらいですかね。
アンカー:ああ、そうですか。それは手頃でいいですね。
本当に。宇田川さんも、ぜひいらしてください。
アンカー:ええ。私も今、生唾飲み込んでいます。平田さんはいつも美味しいお話をしてくださるんですもの(笑)
はい(笑)
さて、お次は今サッカーのヨーロッパ選手権が始まって、ナショナルチームのオレンジ色の旗が国中にはためいているんですけれども、その中に国旗とリュックサックもはためいているんです。
アンカー:はい?リュックサック?
国旗とリュックサックです。
アンカー:ほう。何ですそれ?
国旗ですから、何かのお祝いのはずなんですが、その先にリュックサックがぶら下がっています。それも、かなり使い続けた物で相当くたびれているんです。これは先週の木曜日から揚がり始めまして、雨が降っても、とにかく1、2週間は出ています。
アンカー:何なんですか。そのリュックサックって。
これはですね、中等学校の卒業試験に合格した喜びと誇りの証しなんです。
アンカー:へえ。
中等学校と申しますのは、中学と高校が一緒になった学校です。
アンカー:いわゆる日本でいえば「高校卒業」ですか。
そうです。はい。
それで、なぜリュックサックかと申しますと、このリュックサックに教科書を入れて、生徒は数年間通学するわけですね。苦楽を共にした僕たちの、私たちの相棒というわけです。
アンカー:ほう。
ですからゆえに、このリュックサックに敬意を表して、国旗と共に堂々と掲げるんですね。その家の前を通ると、一目で「ああ、ここの家の子供は難関の卒業試験に合格したんだわ」と分るんです。
アンカー:卒業が、そんなに難しいんですか。
難しいんですよ。本当にもう留年も当たり前です。
ですから、その前を通った時に、子供や家の方が出ていると「おめでとう」と声を掛けずにいられません。
アンカー:ああ、そうですか。
オランダは中学と高校の一貫教育です。3つのコースに分かれていまして、職人を目指すなら4年、専門学校へは5年、大学へは6年ここで学びます。どのコースも一年一年進級するのが大変で、留年も珍しくないのです。
アンカー:そうすると、最短は4年だけれども、4年じゃない子もたくさんいるわけですね。
一杯います。
アンカー:へえ。
どんどん落とされますから。その留年もたくさんいて、さらに卒業論文というのがあって、これまた難しいんです。私は息子を見ていていまして、これは日本でいう大学の卒論ではないかと感じましたね。
アンカー:ああ。日本の高校ではあまり、卒論って聞きませんものね。
そうですね。彼の場合はビール醸造という問題に取り組んで、実際にビール造りに挑戦して、すごい膨大な時間と情熱をかけて取り組みました。結果、とても飲める代物ではなかったそうです(笑)
アンカー:自分で作ってみるわけですか。
はい。そうです。
アンカー:へえ。
すごいですよねぇ。本当に。
アンカー:そんなに勉強するんですか。
ええ。卒業論文の発表会を聴きに行ったんですが、どの子も一年前から準備して仕上げたというだけあって、内容は濃いものでした。
アンカー:ああ、そうですか。
ええ。日本と大きく違うのは、この卒業試験に合格しなければ次に進めないのです。働こうにも進学しようにも、この中等学校の卒業証明証が無ければどうにもなりません。日本のように「9年間の義務教育を終えれば、取りあえず卒業証書をもらえる」というのとはわけが違います。
アンカー:はあ。。。退学をしてしまう子はいないんですか。
思春期ですからね、たしかに道にそれる子もいるんです。でも、何といってもここの証明証をもらわなければ、どうにも正規の仕事には就けませんから、やっぱり夜学に行ったりして、最後は卒業しますね。
アンカー:そうなんですか。厳しいんですね。
はい。何年間か寄り道をしても、最後は手にしますね。
アンカー:ああ、そうですか。
ええ。あとは誰も彼もが大学に行くのではなくて、本当に学びたい者だけが大学に行きます。日本のような受験というものはありません。
この中等学校の卒業試験に合格すると、それだけでもう価値がありますので、進学コースの人たちは希望の大学の学科に進めます。
アンカー:ああ、そうですか。大学に行くための試験は、改めて無い?
はい。ありません。
アンカー:ほう。
ですから、それほど実のある、内容の濃い教育内容だということですよね。
アンカー:なるほどね。そうですか。
ええ。オランダの国土面積は日本の九州ほどの広さです。大学は全部で13校で、そのほとんどは国立です。ですから、私が「大学生の息子がいる」と言うと、人様は「どこの大学?」と言うのではなくて、「何を専攻しているの?」と最初に聞いてきます。
アンカー:ああ、なるほど。そちらのほうが重要なんですね。
はい。そうですね。また、職人を育てる仕組みがきちんと出来ていて、これも素晴らしいと思いますね。
アンカー:そうですか。長い時間かかって出来た仕組みなんでしょうね。
そうですよね。本当に素晴らしいと思います。
さて、晴れて卒業試験に合格しての卒業式なんですが、もうパーティーでしたね。男子はスーツ、女子は方や胸が大きく開いたドレスで、学校のホールの壇上に勢ぞろいします。
ホール一杯に並べられた椅子には、親、兄弟、祖父母までが来ています。それで、オランダではビール、ワイン、タバコは16歳からOKですから、壇上の生徒も、ホールの我々もシャンペンが配られて、シャンペングラスを手にして、向かい合わせで乾杯です。
傍らでは吹奏楽部が音楽を奏でて、堅苦しい挨拶は一切無し。
アンカー:いいですねえ。
いいですね(笑)
担任が下から、壇上の生徒一人一人に卒業証書を手渡すんですが、この時に横で進路指導の職員がマイクを通して、それぞれの成績を発表するんです。
アンカー:えー!
例えばこんな具合です。「彼の数学は追試でやっと通りました」あるいは、「昨年の留学をバネにして、晴れて合格おめでとう」あるいはですね、「全教科最高得点、素晴らしい」などなどで、ホールの我々もどっと笑ったり、感嘆の溜息を漏らしたり、もうずーっと拍手のしっぱなしですね。
アンカー:ああ、でも、それぞれ努力の甲斐があって卒業でしょうからね。
そうですね。ですから、本当に今の時季、6月の風に揺れる国旗とリュックサックというのは、オランダの夏の始まりの風物詩なんですよ。
アンカー:そうなんですか。
はい。
アンカー:へえ。でも担任の先生が、壇上の生徒に卒業証書を渡すというのも、またいいですね。下から渡すというのもね。
そうですね。ちょっと胸が熱くなりましたね。日本と全く違う仕組みですし。渡して、握手して。
なんか、今想い出しても胸が熱くなります。
アンカー:6年間も一緒にいてね。所変われば品変わると言いますけれど、ずいぶん違うものですね。
そうですね。私も新たな、素敵な経験をさせてもらっています。
アンカー:リュックサックが国旗と一緒にたなびきますか。。。そのリュックサックは、何色なんですか。
皆それぞればらばらです。指定の物はありませんので、赤もあれば茶色もあれば。もうばらばらです。
アンカー:そうですか。一週間ぐらい見られるんですね。
はい。そうです。ですから、今の時季オランダに見える方、どうぞ新ニシンは味わえますし、国旗とリュックサックは眺められますし、ぜひどうぞ。
アンカー:伺うなら今ですか。
そうですよ(笑)
アンカー:ありがとうございました。
いいえ。どうも。
16日放送オランダ・アウトホルンから平田曜子さんのレポート
- 6月は卒業式のお話が多いですね。以前、平田さんがリュックサックはオランダ語で、リュックは背中でサックは袋という意味だと仰っていましたが、やっぱりオランダの方はリュックサックが大好きなんでしょうか(笑)(編者)
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