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女の園と化すヘンナ・パーティー
本格的な夏休みの始まり、結婚披露宴のシーズン、花嫁が染料ヘンナで肌に模様を描く日に行われる女性だけのパーティー、エジプトの男性にとっての女性の魅力、無駄毛処理について。
アンカー松本一路さん:エジプト、カイロから中野眞由美さんです。中野さん。
こんばんわ。
アンカー:こんばんわ。そちらは今午後ですか。
そうですね。午後6時10数分ということころですね。
アンカー:ああ、そうですか。夕方ですが、暑さはどうですか。
今日は涼しいほうですね。35度です。
アンカー:(笑)35度で涼しいほうですか。
はい。涼しいです。
アンカー:というと、暑いと、どのくらいまで気温いきます?
40度近くまでいきます。40度をちょっと超えることもあります。
アンカー:あらー。ということは、日本では今「暑い暑い」と言っているんですが、エジプトはもっとですか。
本当の気温は確かに高いんですが、体感温度はあんまり変わらないかも知れません。
アンカー:ほう。といいますのは?
湿度が無いですから、さらっとして楽なんですね。
アンカー:ああ。なるほどね。
ええ。今でも私エアコンは入れてないです。
アンカー:あ、そうですか。それはうらやましい。
入れなくても大丈夫なぐらいの、暑いけれども我慢できる暑さなんです。
アンカー:そうですか。さあ、今夜はどんなお話でしょうか。
夏休みに入りましたので、エジプトならではの夏休みのお話をしたいと思います。
アンカー:はい。お願いします。
実はエジプトの夏休みというのは、もうすでに6月から始まっているんですが、そして9月の中旬まで続くんですけれども、今週からようやく本格的な夏休みになってきました。
アンカー:といいますのは?
実はですね、一部の家庭にとっては、大学入学の振り分けに使われる全国一斉試験というのが6月末にありまして、対象となります高校2年生と3年生がいる家庭ですとか、その親戚の方たちはジーッと息を潜めていたんですね。
その結果が先週末に発表されましたので、ようやく試験地獄も終って、家族中の緊張が解けて、これから本当の夏休みを満喫できますね、という状況になってまいりました。
アンカー:ああ、なるほどね。
ええ。それ以外の方は、もうとっくに夏休みを楽しんでいるんですが、この夏休みというのは、エジプトでは結婚披露宴が集中する時季なんです。
アンカー:おやおや、どうしてでしょうかね。
これはですね、とにかく披露宴には多くの方が参加して頂きたいというのがありましてね。
断食月は節制をする月なので外しまして、披露宴というのは一年中あるんですけれども、大人も子供も赤ちゃんも出席しますから、一年中やる中で多くの人が仕事とか関係なく参加できますので、この時季がお客様にとっても来やすいということがあるんですね。
アンカー:ああ、なるほど。
というのも、「結婚するに当たって、多くの人にその事実を知らしめるように」というイスラムの教えがありますので、この盛大なる披露宴を行うことで、結婚の事実を報告しまして、ようやく新郎新婦が一緒に暮らすことを世間からも認めてもらうわけなんです。
アンカー:ええ。
どんな披露宴になりますかというのは、これは以前にもお話しましたので、今日はちょっと内緒のお話をしましょう。
アンカー:内緒のお話ですか(笑)
はい。実は披露宴の前日には、女性だけの特別な日が設けられているんです。
これはハフラ・ヘナ、直訳しますとヘンナ・パーティーと呼ばれている日です。
アンカー:ヘンなパーティー?
ヘンナというのは、おかしいという意味ではなくて。
アンカー:日本語じゃないわけですか。
ええ。ハーブの一種で、日本でしたら毛染めの染料として知られているかと思います。髪の毛を染める染料のヘンナなんですね。
アンカー:ああ。はい。
この髪の毛にも良いといわれている天然の染料なんですけれども、エジプトではこのヘンナを毛染めだけではなくて皮膚に直接模様を描くためにも使うんです。
アンカー:ほう。
これは花模様を中心とした連続のアラベスク模様なんですね。遠目にはレースを纏っているように見えるんですけれども、近くで見ますと入墨というか、黒いタトゥーですか。
アンカー:ええ。
そんな感じなんですね。タトゥーと違うのは、1ヶ月もすると自然に消えてしまうことなんですけどね。
花嫁さんは新郎と初めて2人だけになれる日のために、全身に模様を描いて備えるんです。
アンカー:全身にですか。
はい。まあ好みもありましてね。手足だけという方もいれば、手足は避けて体だけとか、あとは全身とか、それは好みのようなんですけれども、このヘンナで模様を入れるんですね。
アンカー:しかし中野さん、あれですね。新郎も初めて見て、びっくりするでしょうね(笑)
いやまあ伝統ですので、それを美しいと感じるようなんですね。
アンカー:ああ、なるほど。
はい。ちょっと見ですとレースのように見えますので、レースを纏っているかのような感じで目に映るんですね。
アンカー:ふーん。
それで、このヘンナで模様を描いた日の夜に行われるので、たぶんヘンナ・パーティーっていうんでしょうけれども、夜の9時ぐらいから花嫁さんの家に、続々と女性たちだけが集まってきます。
家族を始め、親戚やごく親しい友人が集うんですけれども、男性の参加は認められていません。
アンカー:ほう。
ですから、主であるお父さんですとか、男兄弟はこの間どこかへ出掛けてなくてはいけないんですね(笑)
アンカー:(笑)ええ。
パーティーから締め出された男性は親戚中におりますので、花嫁さんの家に家族を送り届けたあと、男たちは男同士で集まって、女たちの宴が終るまで三々五々、近所で時間を潰しているそうなんです。
アンカー:ほう。
このヘンナ・パーティー、ハフラ・ヘナを取り仕切るのは、エジプトの南部でヘンナが採れる地域、アスワン出身の女性たちが中心になっているんですね。
かつてはヘンナで模様を描くだけが仕事だったようなんですけれども、現代ではちょっとしたコスチューム・ディスコ・パーティーの企画運営も手がけます。
なんて言いますと、なんだか大掛かりなパーティーに聞こえるんですが、しょせんは自宅で行うホームパーティーですから、仕掛け人のアスワンの女性たちは、スピーカーや音楽テープ、それから貸し衣装などを用意しまして、あるいは場の盛り上げですとか、衣装の着替えも手伝ったりするんです。
アンカー:ふーん。
この貸し衣装を着るのは花嫁さんだけで、お客様たちは皆さん自前のドレスなんです。
ただしこのヘンナ・パーティーで着るドレスは、とびっきり派手で、とびっきり露出度の多いドレスなんです。
アンカー:ほーう。
日常のエジプトではまず目にしない服装の数々です。驚かれますよ。もう超ミニに、胸もグワーッと開いて、腕もバーンと出ていて「わー、イスラムの女性ってこんな派手なんですか」って、きっと思われるんじゃないでしょうか。
アンカー:ほーう。
花嫁さんの衣装というのも、だいたい1着50ポンドですから、だいたい日本円にして1000円ぐらいでしょうか。
アンカー:安いですね。これはね。
そうですね。だいたいこれを5種類ぐらい借りましてね、なんとベリーダンサー風ですとか、アスワンの地方の伝統的な衣装ヌビアというんですけれども、ヌビア風の衣装、なかにはハワイアンなんていう風変わりな物もあるんです。まあ、いわゆる踊りに使うような衣装なんですね。
その衣装を着けましてね、やるんですけれども、着替えを別室で手伝いながら、衣装に合わせて演技するように、花嫁さんにあれこれ指示をするのも、このコーディーネーターの役なんですね。
アンカー:ほうほう。
「今から、あなたはエジプト一番のベリーダンサーになるのよ。いい?皆の前に出たら色っぽく踊ってね」なんて言いながら、耳元でささやいて気分を盛り上げてあげるんですね。
アンカー:(笑)ええ。
それで、新しい衣装で音楽とともに居間に登場すると、待っていたお客さんからも、やんややんやの喝采が起こりまして、あとは皆で踊りまくります。
アンカー:ああ。これは中野さん、さっきコスチューム・ディスコ・パーティーという話だったんですが、食事とか飲み物とか、そういうものは?
ええ、もう軽いつまみと、あとは飲み物ぐらいですね。お食事は済ませて皆集まりますので。
アンカー:ああ、なるほど。そして皆で踊りまくるという。
はい。女性たちだけが。
アンカー:へえ。
広いお家ですといいんですけれども、狭いお家だったりすると、もうテーブルの上に乗って、ちょっとお立ち台のようになって、やったりするんですね。
アンカー:ほう。
もうこれは凄いです。こんなふうに皆さん、発散する場があるんですね、というのがよく分かるんですけれども。
こうして夜中過ぎまで、1時、2時まで女の園と化したパーティーが続くんですけれども、もう一つ、このパーティーの目的は、新郎のお母さんが息子の嫁になる人が、どれほど官能的か見届けること。
アンカー:ほーう。
それから、親戚のおばさんたちが、お客様の中から花嫁候補を見定める場にもなっているんです。
アンカー:ふーん。
エジプトの男性にとって、女性の魅力はなんといっても官能的であることが大事なんですね。セクシーであること。
普段人前では髪の毛を隠すためにスカーフを被りまして、体の線が出ないような、すとーんとした裾まである服を着ているんですけれども、夫婦2人だけになった時は貞淑で清楚な妻であるよりは、男心をそそる女性を好むんですよねえ。エジプト人は。
アンカー:ほーう。
もうなんといっても長い髪の毛と、無駄毛のないツルツルのお肌が必要条件なんです。
これはエジプトの美意識の一つなんですけれど、女性の無駄毛はだらしなさの象徴なんです。
アンカー:ほう。
ですから、年頃になりますと髪の毛と眉毛以外は、顔の産毛も含めまして、一切の体毛を処理するようになります。
アンカー:ほーう。
外国人観光客の中には、わき毛なんかまったく気にしないで、ノースリーブを着ている女性も見かけるんですけれども、こういうのはエジプト人から見ますと、「うーわぁ、とんでもない」って見られているんですね。
アンカー:ああ、そうですか。日本からの観光客も気を付けなければいけませんね。
そうですね。せめて見えるところの無駄毛は処理して下さい。
エジプトの方は見えないところまで、きれいに処理しておきますけれども。見えるところはぜひ処理して頂きたいんですね。
エジプトで美容院の仕事といえば、髪の毛を切ることよりも、こうした無駄毛を処理するお肌のお手入れが中心で、あとはせいぜい長い髪をセットするというのが一般的なんです。
あるいは美容院ではなくて、お抱えの人を雇って自宅に来てもらう人も結構多いんです。
少なくても、一人月に一回は無駄毛の処理をしますので、これは結構需要がありますね。
披露宴の前日ともなりますと、花嫁さんとその家族は夜にヘンナ・パーティーが始まるまでは、美容院か自宅で一日中かけて、無駄毛やお肌の手入れに時間を費やすことになるんですね。
アンカー:ほう。
実は、それとは別に私も美容院で無駄毛の処理をしてもらったことがあります。
エジプト式の無駄毛の取り方というのは、お手製のハワラというワックスを使うんです。
ハワラ?何ですか、って思いますよね。このワックスはレモンのしぼり汁にお砂糖を加えて、ゆっくり煮詰めて、飴状になったら出来上がりなんです。
この熱々を両手でよく練りながら冷ましていきまして、冷めたところでお肌に押し当てるようにして、ぐーっとなすり付けて、一気にべりっと剥がします。
そこで無駄毛が全部飴にくっ付いて、取れていくという原理なんですね。
アンカー:へーえ。
自分で作れますので、自分で作って処理する人もいるんですけれども、やはりプロは手早いです。
ひじから先、膝から下でしたら、4、5回べりっとすれば出来上がりなんです。
アンカー:しかし、べりっとは、ちょっと痛そうですね。
そうですね。見てると痛そうなんですね。それでやってみると、それほどでもないんです。
そのうえ、出来上がりのお肌がしっとりすべすべという、レモンとお砂糖の成分が、しっかり効いているようなんですね。
アンカー:ほう。
お顔の産毛は、このワックスでべりっとしないで、糸で絡めて抜いていきます。
これはちょっと難しいので説明しますと、糸の一方を口にくわえまして、その先を親指と人差し指に絡めて、三角形を作るんですね。
それで残ったもう一方の手で、糸のもう一方を固定して、指に絡めた糸の三角形を狭めるように、はさみが閉じるように引いて、閉じながら産毛を切るように絡め取るんですね。
アンカー:抜くわけですか。
そうですね。糸に上手く絡めて、そのままひゅっと抜くんですね。
アンカー:ほう。産毛をねえ。
まあ百聞は一見にしかずなので、一度見てみて頂いたら簡単なんですけれども、こちらのほうはちょっとチリチリとした感触がありまして、終ったあとも特製クリームを付けて、しばらく冷やしておきます。
この特製クリームというのも、いろいろ種類がありまして、先日行きましたところでは、ラクダの骨髄の髄液を加工して作ったオリジナルのクリームを勧められました(笑)
アンカー:へー。
「添加物無しで、これは最高に効きますよ」と言われたんですけれども、ちょっとこれは遠慮しました。あのう、匂いを嗅がせてもらったんですけれども、香りがラクダなんですよね(笑)
アンカー:ああ。
まあ、でもとてもお肌にいいそうで、たしかに美容院の係の方は、ツルツルのお肌をしておりました。
身だしなみのお肌のお手入れは、一ヶ所だいたい10ポンド前後、日本円にするとだいたい200円ぐらいなんですね。
顔、手足の脱毛、マニキュア、ペディキュア、かかとのお手入れ、全部ひっくるめて1500円ほど私は払いました。
お手ごろ値段で優美な気分で、かなり満足できますね。
アンカー:ほう。そうですね。
それにしても、美しくなりたいという女性の思いは、世界中どの時代でも共通のようです。
何をもって美しいとするか、価値観はそれぞれなんですけれども、エジプト観光を計画していらっしゃる特に女性の方は、アラビア語で美容院はコーファー(クーファー?)と言いますので、お時間があればどうぞお試し下さい。どこでもあります。
アンカー:コーファ?
ええ。コーファー(クーファー?)。
アンカー:コーファー。なるほど。
ただし、お肌が過敏な方は、くれぐれもご注意なさいませ。
楽しい優美な気分を体験して頂ければと思います。
アンカー:(笑)そうですか。いろいろと面白いお話をありがとうございました。
25日放送エジプト・カイロから中野眞由美さんのレポート
アンカー松本一路さん:エジプト、カイロから中野眞由美さんです。中野さん。
こんばんわ。
アンカー:こんばんわ。そちらは今午後ですか。
そうですね。午後6時10数分ということころですね。
アンカー:ああ、そうですか。夕方ですが、暑さはどうですか。
今日は涼しいほうですね。35度です。
アンカー:(笑)35度で涼しいほうですか。
はい。涼しいです。
アンカー:というと、暑いと、どのくらいまで気温いきます?
40度近くまでいきます。40度をちょっと超えることもあります。
アンカー:あらー。ということは、日本では今「暑い暑い」と言っているんですが、エジプトはもっとですか。
本当の気温は確かに高いんですが、体感温度はあんまり変わらないかも知れません。
アンカー:ほう。といいますのは?
湿度が無いですから、さらっとして楽なんですね。
アンカー:ああ。なるほどね。
ええ。今でも私エアコンは入れてないです。
アンカー:あ、そうですか。それはうらやましい。
入れなくても大丈夫なぐらいの、暑いけれども我慢できる暑さなんです。
アンカー:そうですか。さあ、今夜はどんなお話でしょうか。
夏休みに入りましたので、エジプトならではの夏休みのお話をしたいと思います。
アンカー:はい。お願いします。
実はエジプトの夏休みというのは、もうすでに6月から始まっているんですが、そして9月の中旬まで続くんですけれども、今週からようやく本格的な夏休みになってきました。
アンカー:といいますのは?
実はですね、一部の家庭にとっては、大学入学の振り分けに使われる全国一斉試験というのが6月末にありまして、対象となります高校2年生と3年生がいる家庭ですとか、その親戚の方たちはジーッと息を潜めていたんですね。
その結果が先週末に発表されましたので、ようやく試験地獄も終って、家族中の緊張が解けて、これから本当の夏休みを満喫できますね、という状況になってまいりました。
アンカー:ああ、なるほどね。
ええ。それ以外の方は、もうとっくに夏休みを楽しんでいるんですが、この夏休みというのは、エジプトでは結婚披露宴が集中する時季なんです。
アンカー:おやおや、どうしてでしょうかね。
これはですね、とにかく披露宴には多くの方が参加して頂きたいというのがありましてね。
断食月は節制をする月なので外しまして、披露宴というのは一年中あるんですけれども、大人も子供も赤ちゃんも出席しますから、一年中やる中で多くの人が仕事とか関係なく参加できますので、この時季がお客様にとっても来やすいということがあるんですね。
アンカー:ああ、なるほど。
というのも、「結婚するに当たって、多くの人にその事実を知らしめるように」というイスラムの教えがありますので、この盛大なる披露宴を行うことで、結婚の事実を報告しまして、ようやく新郎新婦が一緒に暮らすことを世間からも認めてもらうわけなんです。
アンカー:ええ。
どんな披露宴になりますかというのは、これは以前にもお話しましたので、今日はちょっと内緒のお話をしましょう。
アンカー:内緒のお話ですか(笑)
はい。実は披露宴の前日には、女性だけの特別な日が設けられているんです。
これはハフラ・ヘナ、直訳しますとヘンナ・パーティーと呼ばれている日です。
アンカー:ヘンなパーティー?
ヘンナというのは、おかしいという意味ではなくて。
アンカー:日本語じゃないわけですか。
ええ。ハーブの一種で、日本でしたら毛染めの染料として知られているかと思います。髪の毛を染める染料のヘンナなんですね。
アンカー:ああ。はい。
この髪の毛にも良いといわれている天然の染料なんですけれども、エジプトではこのヘンナを毛染めだけではなくて皮膚に直接模様を描くためにも使うんです。
アンカー:ほう。
これは花模様を中心とした連続のアラベスク模様なんですね。遠目にはレースを纏っているように見えるんですけれども、近くで見ますと入墨というか、黒いタトゥーですか。
アンカー:ええ。
そんな感じなんですね。タトゥーと違うのは、1ヶ月もすると自然に消えてしまうことなんですけどね。
花嫁さんは新郎と初めて2人だけになれる日のために、全身に模様を描いて備えるんです。
アンカー:全身にですか。
はい。まあ好みもありましてね。手足だけという方もいれば、手足は避けて体だけとか、あとは全身とか、それは好みのようなんですけれども、このヘンナで模様を入れるんですね。
アンカー:しかし中野さん、あれですね。新郎も初めて見て、びっくりするでしょうね(笑)
いやまあ伝統ですので、それを美しいと感じるようなんですね。
アンカー:ああ、なるほど。
はい。ちょっと見ですとレースのように見えますので、レースを纏っているかのような感じで目に映るんですね。
アンカー:ふーん。
それで、このヘンナで模様を描いた日の夜に行われるので、たぶんヘンナ・パーティーっていうんでしょうけれども、夜の9時ぐらいから花嫁さんの家に、続々と女性たちだけが集まってきます。
家族を始め、親戚やごく親しい友人が集うんですけれども、男性の参加は認められていません。
アンカー:ほう。
ですから、主であるお父さんですとか、男兄弟はこの間どこかへ出掛けてなくてはいけないんですね(笑)
アンカー:(笑)ええ。
パーティーから締め出された男性は親戚中におりますので、花嫁さんの家に家族を送り届けたあと、男たちは男同士で集まって、女たちの宴が終るまで三々五々、近所で時間を潰しているそうなんです。
アンカー:ほう。
このヘンナ・パーティー、ハフラ・ヘナを取り仕切るのは、エジプトの南部でヘンナが採れる地域、アスワン出身の女性たちが中心になっているんですね。
かつてはヘンナで模様を描くだけが仕事だったようなんですけれども、現代ではちょっとしたコスチューム・ディスコ・パーティーの企画運営も手がけます。
なんて言いますと、なんだか大掛かりなパーティーに聞こえるんですが、しょせんは自宅で行うホームパーティーですから、仕掛け人のアスワンの女性たちは、スピーカーや音楽テープ、それから貸し衣装などを用意しまして、あるいは場の盛り上げですとか、衣装の着替えも手伝ったりするんです。
アンカー:ふーん。
この貸し衣装を着るのは花嫁さんだけで、お客様たちは皆さん自前のドレスなんです。
ただしこのヘンナ・パーティーで着るドレスは、とびっきり派手で、とびっきり露出度の多いドレスなんです。
アンカー:ほーう。
日常のエジプトではまず目にしない服装の数々です。驚かれますよ。もう超ミニに、胸もグワーッと開いて、腕もバーンと出ていて「わー、イスラムの女性ってこんな派手なんですか」って、きっと思われるんじゃないでしょうか。
アンカー:ほーう。
花嫁さんの衣装というのも、だいたい1着50ポンドですから、だいたい日本円にして1000円ぐらいでしょうか。
アンカー:安いですね。これはね。
そうですね。だいたいこれを5種類ぐらい借りましてね、なんとベリーダンサー風ですとか、アスワンの地方の伝統的な衣装ヌビアというんですけれども、ヌビア風の衣装、なかにはハワイアンなんていう風変わりな物もあるんです。まあ、いわゆる踊りに使うような衣装なんですね。
その衣装を着けましてね、やるんですけれども、着替えを別室で手伝いながら、衣装に合わせて演技するように、花嫁さんにあれこれ指示をするのも、このコーディーネーターの役なんですね。
アンカー:ほうほう。
「今から、あなたはエジプト一番のベリーダンサーになるのよ。いい?皆の前に出たら色っぽく踊ってね」なんて言いながら、耳元でささやいて気分を盛り上げてあげるんですね。
アンカー:(笑)ええ。
それで、新しい衣装で音楽とともに居間に登場すると、待っていたお客さんからも、やんややんやの喝采が起こりまして、あとは皆で踊りまくります。
アンカー:ああ。これは中野さん、さっきコスチューム・ディスコ・パーティーという話だったんですが、食事とか飲み物とか、そういうものは?
ええ、もう軽いつまみと、あとは飲み物ぐらいですね。お食事は済ませて皆集まりますので。
アンカー:ああ、なるほど。そして皆で踊りまくるという。
はい。女性たちだけが。
アンカー:へえ。
広いお家ですといいんですけれども、狭いお家だったりすると、もうテーブルの上に乗って、ちょっとお立ち台のようになって、やったりするんですね。
アンカー:ほう。
もうこれは凄いです。こんなふうに皆さん、発散する場があるんですね、というのがよく分かるんですけれども。
こうして夜中過ぎまで、1時、2時まで女の園と化したパーティーが続くんですけれども、もう一つ、このパーティーの目的は、新郎のお母さんが息子の嫁になる人が、どれほど官能的か見届けること。
アンカー:ほーう。
それから、親戚のおばさんたちが、お客様の中から花嫁候補を見定める場にもなっているんです。
アンカー:ふーん。
エジプトの男性にとって、女性の魅力はなんといっても官能的であることが大事なんですね。セクシーであること。
普段人前では髪の毛を隠すためにスカーフを被りまして、体の線が出ないような、すとーんとした裾まである服を着ているんですけれども、夫婦2人だけになった時は貞淑で清楚な妻であるよりは、男心をそそる女性を好むんですよねえ。エジプト人は。
アンカー:ほーう。
もうなんといっても長い髪の毛と、無駄毛のないツルツルのお肌が必要条件なんです。
これはエジプトの美意識の一つなんですけれど、女性の無駄毛はだらしなさの象徴なんです。
アンカー:ほう。
ですから、年頃になりますと髪の毛と眉毛以外は、顔の産毛も含めまして、一切の体毛を処理するようになります。
アンカー:ほーう。
外国人観光客の中には、わき毛なんかまったく気にしないで、ノースリーブを着ている女性も見かけるんですけれども、こういうのはエジプト人から見ますと、「うーわぁ、とんでもない」って見られているんですね。
アンカー:ああ、そうですか。日本からの観光客も気を付けなければいけませんね。
そうですね。せめて見えるところの無駄毛は処理して下さい。
エジプトの方は見えないところまで、きれいに処理しておきますけれども。見えるところはぜひ処理して頂きたいんですね。
エジプトで美容院の仕事といえば、髪の毛を切ることよりも、こうした無駄毛を処理するお肌のお手入れが中心で、あとはせいぜい長い髪をセットするというのが一般的なんです。
あるいは美容院ではなくて、お抱えの人を雇って自宅に来てもらう人も結構多いんです。
少なくても、一人月に一回は無駄毛の処理をしますので、これは結構需要がありますね。
披露宴の前日ともなりますと、花嫁さんとその家族は夜にヘンナ・パーティーが始まるまでは、美容院か自宅で一日中かけて、無駄毛やお肌の手入れに時間を費やすことになるんですね。
アンカー:ほう。
実は、それとは別に私も美容院で無駄毛の処理をしてもらったことがあります。
エジプト式の無駄毛の取り方というのは、お手製のハワラというワックスを使うんです。
ハワラ?何ですか、って思いますよね。このワックスはレモンのしぼり汁にお砂糖を加えて、ゆっくり煮詰めて、飴状になったら出来上がりなんです。
この熱々を両手でよく練りながら冷ましていきまして、冷めたところでお肌に押し当てるようにして、ぐーっとなすり付けて、一気にべりっと剥がします。
そこで無駄毛が全部飴にくっ付いて、取れていくという原理なんですね。
アンカー:へーえ。
自分で作れますので、自分で作って処理する人もいるんですけれども、やはりプロは手早いです。
ひじから先、膝から下でしたら、4、5回べりっとすれば出来上がりなんです。
アンカー:しかし、べりっとは、ちょっと痛そうですね。
そうですね。見てると痛そうなんですね。それでやってみると、それほどでもないんです。
そのうえ、出来上がりのお肌がしっとりすべすべという、レモンとお砂糖の成分が、しっかり効いているようなんですね。
アンカー:ほう。
お顔の産毛は、このワックスでべりっとしないで、糸で絡めて抜いていきます。
これはちょっと難しいので説明しますと、糸の一方を口にくわえまして、その先を親指と人差し指に絡めて、三角形を作るんですね。
それで残ったもう一方の手で、糸のもう一方を固定して、指に絡めた糸の三角形を狭めるように、はさみが閉じるように引いて、閉じながら産毛を切るように絡め取るんですね。
アンカー:抜くわけですか。
そうですね。糸に上手く絡めて、そのままひゅっと抜くんですね。
アンカー:ほう。産毛をねえ。
まあ百聞は一見にしかずなので、一度見てみて頂いたら簡単なんですけれども、こちらのほうはちょっとチリチリとした感触がありまして、終ったあとも特製クリームを付けて、しばらく冷やしておきます。
この特製クリームというのも、いろいろ種類がありまして、先日行きましたところでは、ラクダの骨髄の髄液を加工して作ったオリジナルのクリームを勧められました(笑)
アンカー:へー。
「添加物無しで、これは最高に効きますよ」と言われたんですけれども、ちょっとこれは遠慮しました。あのう、匂いを嗅がせてもらったんですけれども、香りがラクダなんですよね(笑)
アンカー:ああ。
まあ、でもとてもお肌にいいそうで、たしかに美容院の係の方は、ツルツルのお肌をしておりました。
身だしなみのお肌のお手入れは、一ヶ所だいたい10ポンド前後、日本円にするとだいたい200円ぐらいなんですね。
顔、手足の脱毛、マニキュア、ペディキュア、かかとのお手入れ、全部ひっくるめて1500円ほど私は払いました。
お手ごろ値段で優美な気分で、かなり満足できますね。
アンカー:ほう。そうですね。
それにしても、美しくなりたいという女性の思いは、世界中どの時代でも共通のようです。
何をもって美しいとするか、価値観はそれぞれなんですけれども、エジプト観光を計画していらっしゃる特に女性の方は、アラビア語で美容院はコーファー(クーファー?)と言いますので、お時間があればどうぞお試し下さい。どこでもあります。
アンカー:コーファ?
ええ。コーファー(クーファー?)。
アンカー:コーファー。なるほど。
ただし、お肌が過敏な方は、くれぐれもご注意なさいませ。
楽しい優美な気分を体験して頂ければと思います。
アンカー:(笑)そうですか。いろいろと面白いお話をありがとうございました。
25日放送エジプト・カイロから中野眞由美さんのレポート
- 今回は格別に面白いお話でした。中野さんの観察力は底知れませんね。ヘンナ・パーティーの目的は、ほとんど踊って騒ぐことなんでしょうけれど、「新郎のお母さんが息子の嫁になる人が、どれほど官能的か見届ける」なんて言われると、本当に驚かされますよね。(編者)
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